出版社内容情報
丸山眞男の錯誤、竹山道雄とレーリング判事の心の交流、戦犯の慈父今村均大将の虜囚生活……「異文化接触」という視点でとらえ直した「西洋」「近代」への疑問と人間の新たな可能性
内容説明
東京裁判冒頭陳述から半世紀余―異文化対決がもたらした「西洋」「近代」への大きな問いと人間の新たな可能性。丸山真男の錯誤、竹山道雄とレーリング判事の心の交流、“戦犯の慈父”今村均の虜囚生活…。
目次
第1部 東西国際軍事裁判の被告たち(丸山真男「軍国支配者の精神形態」批判;責任は回避せず―松井石根大将と南京事件;「私人の間の気がね」と「腹芸」―東郷茂徳外相の論理 ほか)
第2部 東京裁判をめぐる群像(竹山道雄と東京裁判;レーリング判事の東京裁判と日本―『東京裁判とその後』を読む;こだまするハル・ノート批判―パル判事の反オリエンタリズムとアメリカの良心ノック ほか)
第3部 異土の裁きの場で(河村参郎中将の対英思想闘争―『十三階段を上る』を読む;君子ニ三楽アリ―戦犯の慈父今村均大将の回顧録)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こまったまこ
8
本書は東京裁判をその速記録や裁判に関わった人物の関連書籍を読み解くことにより検証している。中でもレーリング判事と交流のあった竹山道雄の著作が興味深い。他にはブレイクニ弁護士、東郷茂徳外相、今村均陸軍大将の文献が興味深く是非読んでみたいと思った。他には丸山眞男がその著作で被告達の速記録の重要な部分を恣意的に削除し被告達を矮小で卑怯な悪者に作り上げ読者に先入観を与えてしまったことを指摘しており、憤りを感じた。著者は実際の速記録の削除された部分と丸山の文章と比較し異議を唱えている。道義的に許されないと思った。2016/02/28
denken
2
法律でアプローチするより,人間からアプローチしたほうが,面白いわな。前に読んだ続編と比較すると,題名だけなら「文明の裁き」と「勝者の裁き」という軸で,何か観念的なことを述べようとしているように見えるが,どちらも具体的に関係した人間から裁判を読み取るという姿勢だと感じた。やっぱ,人間ってえのが何であるのかわからんと,法律とか政治ってのは,わからんですわ。2012/08/02
鹿之介
1
各章、特定の人物に焦点を当てて書いている。丸山眞男、レーリング、東郷茂徳、今村均など。資料を丹念に読んで書いておりとても良心的な本と感じた。2022/02/27