内容説明
村上春樹が心をこめて贈る12の「パーソナル・ベスト」レイ・カーヴァーの全作品から、偏愛する短篇、エッセイ詩12篇を新たに訳し直した“村上版ベスト・セレクション”。作品解説・年譜付。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MINA
35
「でも相手に伝えられない何かが残った。彼女はなんとかそれを言葉にしようと、しばらくのあいだ試みていたが、結局はあきらめることになった。≪ダンスしないか?≫」村上春樹の著作はほぼ全部読んでるものの、訳本にはまだ目を通したことが無かった。最近、いくつか翻訳小説読んでる中で著者の名が出てきていたりしたのでどんなものなんだろう?とついに手を取ってみた。村上春樹がすごく影響を受けているのがありありと見てとれた。この短編の後味は彼そのものだ、と思ってしまったくらい。≪ささやかだけれど、役にたつこと≫が一番好きかな。2016/06/19
吉野ヶ里
17
主体の切り替えが上手い。心情について深くは踏み入らないのに、なにかが響いて来るのはすごいと思う。「サマー・スティールヘッド」「大聖堂」「ぼくが電話を掛けている場所」「ささやかだれど、役にたつこと」が好き。どれも言葉では表現出来ない部分を行間で上手く表現しているように思われる。恐らく実感をともなった現実描写の行間にだけ言葉にできないことは宿るのだ。こんな作品が書けたら、きっと楽しんだろうな。村上春樹が大好きな作家なので、読んだのだが、確かによかった。ただ、ピンと来ない作品についてはあまり楽しめなかった。2015/06/18
ophiuchi
11
この本を手にしたのは初めてだけど、ほとんど既読。どの短編も印象的でしたが、やっぱり「ささやかだけれど役に立つこと」にぐっと来ました。2016/10/19
ふーか4
10
50歳で亡くなったカーヴァー氏の短編集を、村上氏が翻訳してる。もう少し長く読みたいものもある。波乱に満ちた人生を送られたカーヴァー氏の、長編もいつか読みたい。2013/09/06
sashawakakasu
9
足もとに流れる深い川を2回読んでしまった。ニュースなどの周りに溢れる死に何も感じなくなっている自分がいるなと気付かされる。妻クレアからしたらそんなことで怖いと思ってるのではないのかもしれない。よくわからない。だけどおもしろかった。他の短編も。2020/09/14