内容説明
経済大国日本の財政が国債に依存する慢性的危機状態にあるのはなぜか。「官庁のなかの官庁」大蔵省の主張する「財政と金融の一体性」がもたらした帰結ではなかったか。財政危機の制度的基盤を問う。
目次
序章 財政危機の制度的基盤
第1章 分析枠組(制度の理論;財政制度と金融制度)
第2章 制度の形成と定着(制度変化の理論―区切られた均衡;中央銀行制度の改革;大蔵省・日銀王朝の定着;財政制度の形成と定着)
第3章 財政の政治化(国債の発行;財政硬直化打開運動;田中内閣;三木内閣;福田内閣;福祉と公共事業)
第4章 金融の従属(国債管理政策の基調;国債管理政策の変化)
終章 大蔵省統制を越えて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
日の光と暁の藍
6
1970年代の日本における財政赤字の拡大は先進国の中でなぜ最も深刻であったのか。これが本書の問いである。本書の解答は、財政と金融が同じ大蔵省で担当されていたため、である。一つ一つ問いを立て、先行研究を批判しつつ、自らの仮説を裏付け証明していく姿勢に「これぞ本物の研究!」と感じる。占領期以降の、大蔵省を巡る制度の歴史、大蔵省と日本銀行との関係の歴史、日銀の産業政策、通産省の大蔵省への挑戦、国債引き受けの歴史及び民間市中銀行と大蔵省の力関係の変化、財政赤字拡大の歴史と要因がこの一冊に濃密に凝縮されている。2020/10/31
じ
2
問題設定が明快で面白い。後半は財政・金融の細かい話が多く若干飛ばし気味だったが、いわゆる記述の厚みの重要さを実感(とともに、いくら厚くても問題設定が重要なのだとサイド実感)。2020/05/10
ヨシツネ
2
行政学の名著 カネと政治の論理がそれぞれ歪んだことがわかる2019/01/16
鉱物
1
大雑把な要約を許さない、実証政治学の名著。2015/08/25