内容説明
関羽、張飛がたおれ、劉備も逝き、蜀の危急存亡のとき、曹操の悪しき統一を防ぐため「天下三分の計」をたて、輿に乗り白羽扇で軍を率い、丞相孔明は五丈原に向う。史料の徹底的な吟味によってよみがえる孔明の新しい魅力。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ともとも
17
赤壁の戦いから五丈原の戦いで没するまでの孔明を描いていく。 長い物語の三国志にしては、スピード感があるなと思わされながらも 史料を基に、さらに物語調に孔明や、三国志の時代が描かれていて、 新たに得たものもあったり、今までの三国志を払拭しながらも、 一方で、そのイメージを崩さない。 歴史小説の難しさを感じながらも、それでも孔明視点、全体での視点のバランスが うまい具合に描かれていて、歴史小説や三国志、諸葛孔明の生き方にさらに興味を惹かれてしまいました。2016/10/09
そうたそ
12
★★★☆☆ 孔明の人生と共に、上下巻にわたって「三国志」を辿る作品。徹底して史料を参照し書かれた内容は読み応えがあるし、「三国志」を学ぶにも良い。ただ、これを入門書とするのはややハードルが高いかも。上級とは言わないが、中級者向けかも。原点に対して実直な物語だとは思うが、一方でじゃあ小説として楽しいか、と言われると、そこを求めると物足りないというのが正直なところ。読み物として楽しめる孔明ものならば、酒見賢一さんの「泣き虫弱虫諸葛孔明」に軍配が上がるだろう。2024/01/21
フジコ
10
下巻は関羽、張飛、劉備、曹操などの偉大なヒーロー達が順に死んでいく。歴史小説なので当然わかってはいても、どうしようもなく寂しく切なくやるせない思いで読みすすめておりました。有名な五丈原での場面。「旗を翻せ…。鼓を鳴らせ…。」と、"死せる孔明、生ける仲達を走らす" 。あらためてこうして読むと、やはりどうしようもなく目頭が熱くなるのです。あとがきも良かったです。作者のご冥福をお祈りいたします。2015/06/11
bassman_tubacca
2
やはり、勝つには情報を収集すること。うまく使うこと。しかし中国の歴史は血で血を洗う陣取り合戦の様相ですね・・・。油断してたら攻められる(^^;)2019/06/27
HIRO
2
本書の孔明は、小説や漫画でよく描かれるような人間離れした智謀の持ち主ではありません。魏という大国を相手に、人材不足に悩みながらも国の維持運営に苦心する等身大かつ人間味のある孔明が描かれている。これって中小企業の経営者にそのまま当てはめて読めるんですね。こんな状況でやりくりするには、相当な苦悩と献身的な働きがあったんだろうな。色々と思うところのある作品でした。