内容説明
スマートさからほど遠かった青春の終わりに、男はただ一人愛した娘の面影を抱いてシチリアへ、伝説のロードレースに漕ぎ出す―。かたくななまでに一途な男と、無気力なほど屈託ない箱入娘。’80年代を悼む少数派恋愛小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
16
著者の実生活をモデルにしたとも思われる恋愛小説。 第一部が上野篇、第二部が(イタリア)モデナ篇。1990/05/03
arodexi
5
知っている人には説明不要。 知らない人は多分読んでも幸せにはなれないかも・・・。 自分が年を重ねるにつれ感じるポイントがどんどん変わってきますが 何度も読み返しそのたびに涙がでます。
koma250
5
たぶん、最後の一冊として持っていると思う。不器用な作家、男、女、イタリアーノ、そして読者。すべてが不器用。少し幸せな気持ちになりたければマン島物語、昔の恋を大切に思うときにはこちらを読みます。
makoto018
4
作者がいちばん思い入れのある半自伝的小説で、その割に売れなかった小説という。他作品に見られるような程よいユーモアでコーティングされていないからか。チョコレートを口にしたらカカオ90%だったみたいな感じ。人間関係に疲れている時は読めなさそう。前半は芸大時代の生活と恋愛模様が描かれる。80年代バブルの恋愛ゲームではない。無邪気な箱入り娘と不器用な主人公だから、森雅裕の真骨頂、報われない恋愛話に。後半、主人公がイタリアのロードレースに出場する話になるが、最後で前半の恋愛話とつながる。切なくもほろ苦い後味が残る。2018/12/16
kogoty
4
青春と呼ぶにはその重さにこっちの胸が苦しくなる上野篇。一途でしかいられない不器用さが、何度でも寂しがり屋を孤独に引き戻す。ハードボイルドを気取っているのならどれだけ楽だっただろう。モデナ篇はその重さから解放され爽快に読み進む。もっとも、解放されたのは読み手である私であって、巽には喪失感を内包したままのモラトリアムにすぎなかったのだろうけれど。やっとつかんだ指の間から幸せが零れ落ちる。掌に張り付いて残ったそのかけらの重みを胸に、なんとか自分を運んでいくのだろう。2016/07/14




