内容説明
本州西端の小島に古代から伝わる「神ノ森」の神事。原生樹林が時空を超えて作りあげた密かなドームに引きよせられた高坂明雄は、自らの想像力を激しく燃焼させるが…。秘儀の島に魅せられた若者の残酷で、運命的な青春。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
iuba
3
旅装をすっかり整えた状態で、マガホニーのカウンターにその長駆をのばし悠然と眠りに落ちているような友の両手首には、しかし深い傷が刻まれ、磨き抜かれた木材に赤が滴る。文学青年のまっすぐな恋。古い神々との立会。くらい森。 真弓と出会ったばかりの三人の様子がみずみずしく、後半に待ち構えるくらい森への旅追想の旅をひきたてている2012/06/26
さよならん
0
文学少年の愛とか恋とかを神聖視し過ぎて潔癖になって、極端な行動に出てしまうという青臭くて恥ずかしくて美しくてなんだか愛しい話だった。明雄は菜月を愛したのはなくて、菜月の持ってる少女性、少女らしさ、純粋さを愛しただけだったのかな。子供っぽさと、大人が夢見る恋愛観とが混ざったようで痛々しくも思った。やはりまた前向きな自殺物語で安心しました。2015/03/31
みんと
0
久々に読んだ赤江瀑作品。肝心の神事の部分を飛ばし読みしたせいか、いまひとつでした。昔読んだ赤江作品に感じたような、昏、怨讐、業や因縁に満ちた引きずり込まれる様な感覚など感じられなかった。2012/09/16