- ホーム
- > 和書
- > 芸術
- > 絵画・作品集
- > 絵画・作品集(西洋)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
380
これも大型本。厚さ4.5cm、重量はなんと4kg。ブリューゲル全作品として70点を網羅する(ただし、終わりの何点かはブリューゲル2世等の作品が含まれる)。こうして俯瞰的にブリューゲルを眺めてみると、あらためてその凄さに圧倒される。遠近法の技術も卓越しているし、「謝肉祭と四旬節の喧騒」他のとてつもなく大勢の人たちを描いた絵にも魅入られるばかりだ。「悪女フリート」や「死の勝利」をはじめとした終末風の絵(ボッシュ風でもある)に見られる炎や夕日の赤も怖くもありながら実に感動的である。2020/09/23
かりさ
72
緻密で美しい線画、どことなく不穏な感覚をもたらせる色彩、不思議で可愛らしい生き物たち。第二のヒエロニムス・ボスと呼ばれたブリューゲルの作品集はその厚さと重さに彼の芸術作品、人生が豊富に詰まっています。開くたびに惹きつけてやまないブリューゲルの世界から立ち去り難く、時間をかけて眺めておりました。そしてやはり魅了されるのはブリューゲルが描いたふたつのバベルの塔。特に好きな小バベルの内にむくむくと何かを孕んだような不穏さ、小筆一筋ほどの細やかな人々の描写に魅せられます。願わくばバベルの塔展へ。叶うでしょうか。2017/05/28
なる
29
ちょっとした鈍器である。作品を紹介しつつ関連する絵画や彫刻も紹介されており学術本としての側面もある。宗教に関する絵が多いブリューゲルの作品はどことなく陰鬱で不気味さが漂う。とにかく細かい描写で一つの絵画の中にいくつもの物語が展開されているのが特徴でもあり見ていて飽きない。当時の生活の様子なども垣間見えるのだけれど、意図的に不自然な構図をちりばめて暗喩を用いたり、『死の勝利』『ベツレヘムの嬰児虐殺』などの凄惨な絵も多く悪夢でもある。ヒエロニムス・ボスを想起させる。後半には総論もあり読み応え充分。2021/12/12
Koichiro Minematsu
16
ブリューゲルの風刺画も味がある貧困と富裕、上下、生と死など対局にあるものの間にあるものを描く。また、繊細な画風に素朴さや、儚さ、生活感も感じる。2017/06/10
Koki Miyachi
4
16世紀のベルギーの画家。農民画家として知られるが、特に「バベルの塔」が好き。建築家としての魂を揺さぶられる。彼の絵画はディテールの描き込みが緻密で、寓話を元にした意味が込められていて、深い含意と多層的なイメージを感じる。その時代ならではの風俗や宗教観とともに、時代を超えた人間としての根源的なテーマも盛り込まれているように思う。自分にとって深く広くイマジネーションを拡げてくれる絵画だ。2012/12/23