感想・レビュー
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松本直哉
27
もともと反フランス感情の強いブルターニュの都ナントに生を享け、恐怖政治では友人がギロチンの露と消えるのを目の当たりにしたソフィーが、その後の人生でも反抗的な態度を貫き、ナポレオンを倒す陰謀にも加担していく。その母の姿を見て育った未来の詩人が、後年自分自身も、ナポレオン三世の独裁に抗議し、ブルターニュ沖合の島に亡命して、皇帝を弾劾する『懲罰詩集』を編んだのは偶然とは思えない。夫との不和と婚外恋愛、息子の文学への情熱を後押しする熱意など、平凡な女性であることに決して満足できなかった、波瀾に満ちた生涯。2023/10/25