出版社内容情報
精神科医の六麦は、少年院で知能に問題がある少年少女を見てきた。ある一定の傾向があり、問題を抱えながら更生を進めている。施設育ちの栗本陸は家族のいない不遇から非行に走り少年院に入ってきた。彼を救う手立ては――? 「ハノイの塔」のエピソードも収録! テレビドラマ放送後、更に大注目の第7巻!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かなっち
3
少年院と知能障害の闇に迫る非行少年の物語第7巻は、やっぱり一番影響するのは親との関係だと改めて実感しました。特に最初の少年の母親は酷く、その毒親ぶりにイヤな気持ちが収まらなかったのです。赤ちゃんの時に捨てたくせに、お金目当てで近付いて、当てにならないと分かれば手のひらを返す…。少年がきっぱりと縁を切ったので救われましたが、少年の苦悩を思うとやるせなさが止まらなくて。次に登場した少年も援助がない中仕事も続かずで、犯罪に走るのも必然な気がしてきました。…彼らが救われるのを願って、次巻発売を待ちたいと思います。2023/10/19
直人
3
複数の物語が描かれるが,ほとんどは程度の違いはあれ知的障害を抱えている人たちが中心。 他人と同じリズムでの生活ができないことからストレスが生まれ障害に走るというパターン。 今巻では2本の話が採りあげられるんだが,もっとも近くにいて彼らを支えるべき家族も描かれる。 ただ。 当事者ではない我々は物語を受けとめることはしても,断罪をすべきではないと思う。2023/09/26
笠
2
3.5 新刊読了。施設で育った収監中の少年の下に身元引受人として母親が現れるが、働かせて金を稼がせようとしているだけだったという地獄。次の話にしても非行の主原因が知能より家庭環境にある感じで、もう一つの連載作『子供を殺してくださいという親たち』との区別がほぼつかなくなってきたなという印象。結局毒親が悪いという根幹が共通してるから。それにしても、中高生くらいで女子に触っていいよと誘われて触らない男はいない。大人が未成年に手を出したのならともかく、「彼のやった行為は許されることではない」とか厳しすぎるだろ。2023/09/18
もりんた
1
コミュニケーションが苦手で周囲の協力が得られないのに加え、親が利己的という更なる壁が自立を妨げるストーリー。それぞれ適切に処理していかないと苦境に陥る状況はかなりの難易度だなと。施設長という1本の糸が残っていて今も変わらぬ愛情を注いでくれることが救いに繋がったけど、そんなサポートを受けられる状況はおそらく稀で。物価高や生産人口減少で余裕が無くなる今後を想像すると不穏な感じが…2023/12/09
な。
1
子供は親からたくさん愛情を受けたい、けれど親は子供に愛情が無い。それが成り立ってしまう現実は何て哀しいのだろう。それでも周りの大人たちが支えて、見守り、導いてあければ、その穴を埋めることが出来るかもしれない。そしてそれもまた、愛。2023/11/12