出版社内容情報
物心ついた頃には始まっていた父親からの性的虐待、宗教にのめり込む家族たち。愛子は自分も、自分が生きるこの世界も、誰かに殺して欲しかった。阪神淡路大震災、オウム真理教、酒鬼薔薇事件……時代は終末の予感に満ちてもいた。「ここではないどこか」を想像できず、暴力的な生きにくさと一人で向き合うしかなかった地方の町で、少女はどう生き延びたのか。『ぼくらのへんたい』の著者が綴る、半自伝的90年代クロニクル。
ふみふみこ[フミフミコ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
トラシショウ。
39
1990年代。地方都市で新興宗教にはまる家庭に育ち、宗教色の濃い学校へと通う中学生・愛子。物心つく前から日常的に父親による性的虐待に晒され、周りのクラスメイトや家族程には信仰に救いを見いだせない彼女はある日、震災で弟を失いリアリストになった松本さんと出会う。周りに左右されぬ強さと凛々しさに感化された愛子は、合唱祭に訪れる教祖殺害に燃える彼女を応援するが、その直前に神戸で「酒鬼薔薇聖斗」を名乗る恐るべき殺人事件が起きた事が愛子と、そして松本さんの運命を狂わせていく。半自伝的な作品らしい(以下コメ欄に余談)。2018/07/10
ぐうぐう
31
阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、日本を揺るがす出来事が起こっているとき、少女・愛子は父からの性的虐待を受けていた。家族は宗教に心酔し、父の行為を視界に入れながらも、それが何を意味しているかに想いが至らない。宗教系の学校も愛子にとっては救いにはならない。ただ一人、宗教の言葉の薄っぺらさに気付き、世界を憎む同級生・松本に、愛子はシンパシーを覚える。ククリナイフを隠し持ち、教祖と教祖を信じる者達の殺戮を計画する松本に、愛子は救いを覚えるのだ。けれど、計画が実行される直前、酒鬼薔薇事件が起こる。(つづく)2018/07/07
松島
14
いつか救いはあるのですか?2018/10/06
Merino
11
淡い絵柄ながらも結構強烈だった。2018/10/03
gawa
11
強烈。宗教とか虐待とかでわかりやすい不幸を描かれるのは嫌いだが、作者の半自伝的作品ということもあり、安くはならない。主人公が世界に絶望し、世紀の殺人鬼にすら共感を覚えてしまう過程を痛切に描き、こちらの感情も支配されてゆく。父親に性的虐待を受け、それを見ている母親がバカ笑いしている世界で、主人公はいかにして大人になるのか?2018/07/15
-
- 電子書籍
- ラストニュース(6) ビッグコミックス