感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hiro
2
全集版で罪と罰、永遠の夫を読む。有名な前者だが、じっくりとキチンと読んだのは初めて。冒頭すぐの犯行の場面、マルメラードフ一家の悲惨な家庭の描写、特異な人物スヴィドリガイロフの行動、俗物ルージン、主人公を包み込むソーニャの包容力など読みどころが多い。が、よく分からないところ、納得のいかないところ、疑問に思うところも少なくなくて、心底感動したとは言い難い。削除され失われたという、当初の、ソーニャと主人公の対決の場面が読んでみたかった。現行版ではここが曖昧で弱いと思う。後者は大作の合間の筆慣らしのようなものか。2023/12/15