出版社内容情報
読める、わかる――21世紀の小林秀雄。
昭和27年50歳の暮、外国旅行に出た。パリに始まり、約半年、欧州を巡って絵を見た。モネやセザンヌ、彼ら一流画家たちの、意味深長の人間喜劇を見た……。他に「ゴッホの病気」など、昭和33年、56歳の10篇。
内容説明
昭和28年50歳、ヨーロッパを巡って絵を見た。パリに始まり約半年―。モネ、セザンヌ、ドガ、ピカソ…彼ら、一流画家の一流の色に、とびきり一流の人間劇を見た。
目次
昭和33年(近代絵画;「近代絵画」著者の言葉;平凡な寄稿家;私の空想美術館;「幸田文全集」;写真;マルロオの「美術館」;蓄音機;ゴッホの病気;「論語」)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハチ
8
学術的には薄く、居酒屋トークとしては超一級品! 筆者特有のコテコテの耽美、酔美な表現は十分に楽しめる。ただ、しっかりと近代絵画の変遷に基づいた位置付けや影響を辿るならば高階秀爾さんの近代絵画史(上)(下)を通読してから小林秀雄流にうつるのがよいかなと感じました。美術評論の真髄にはまだ辿り着けなかったので、しばらくして再読します。2019/04/15
ラウリスタ~
4
小林秀雄には興味はない。19世紀後半のフランス絵画を扱っているので、読んでみた。東大仏文出身とはいえ、素人なのになかなかまともにセザンヌらを理解しているんだろうな。この一部であっても実際に書くとなるとなかなかの労作になることは間違いない。ただ、その反面、別にこの本を読む必要はない。セザンヌを中心として19世紀末のフランス絵画を概観するためには悪くない。東大仏文ってこういった知識を薄めてばら撒く人を輩出しているって面も否めないな。非常に優秀な作家であることは間違いないだろうが、別に読むことは無かった。2012/10/25
MatsumotoShuji
0
040804
0
再読。小林は別に「近代絵画」史を書こうと思っているつもりはない。最初に、ボードレールの話が出てくるが、「詩」が「詩」として如何に芸術的に自律させるかという「危機」(=批評)にボードレールが直面としなければならなかったように、「絵画」が「絵画」として如何様に自立させなければならなかったのか、もっと言うならば、それはモダニズム的な技術という単純な問題では決してなく、環境からの反発/反抗という「芸術と実生活」の屈折として経験されるものである。ここで、中期から後期に至る伝記スタイルのある種の完成を見る。2023/08/24
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