出版社内容情報
二十一世紀に贈る遠藤文学の貴重な遺産。第四巻は、キリスト教作家の醜聞を通して「悪」を追究する問題作「スキャンダル」、母なるガンジスの流れに人生の意味を問う畢生の長篇「深い河」。
内容説明
「悪」を追求する問題作『スキャンダル』と畢生の長篇『深い河(ディープ・リバー)』。21世紀に贈る遠藤文学の貴重な遺産。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Haruko
2
深い河について 群像劇のツールとして団体旅行なのか 登場人物の運命の絡み合いが緩く、人物描写は実在の人物のコラージュのようだ。その中で鮮明なのが、臨終に「私を探して」と告げた妻の生まれ変わりを探す磯辺である。これは死期を悟った作家自身の投影であり、照れ屋であった作者の妻への愛の告白なのではないか。最後の一文が唐突に幕を下ろし、大津と美津子の運命に含みを持たせているのも、作者のまだまだ書き残したことがあるというメッセージに感じられる。2017/02/02
タヌキバヤシ
0
スキャンダル。ドッペンゲルガーの話。2008/08/08
1131you
0
深い河は少し前にEテレのこころの時代で「宗教の壁を越える“玉ねぎ”」というタイトルに惹かれて見たところ面白くそのうち見たいと思っていた。 スキャンダルはこれがポルノ扱いされて遠藤周作のノーベル賞は見送られたという。先日初めて大江健三郎を読み下ネタの凄さに驚いた。下ネタ大江が取れたノーベル賞を阻んだ作品とはどんなものだろうという野次馬根性が湧いた。 この二つが揃った本作を手に取ることにした。 2024/06/30