感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
265
残された作品のイメージと本人の写真との間の乖離が大きい人である。おそらく、私たち読者の多くが梶井の作品として最初に挙げるのは『檸檬』だろう。梶井23歳の時のものだ。そして、その時に思い浮かべる作家像があるとすれば、腺病質で繊細な男性像だろう。しかも、余計なことに梶井が結核に罹っており、そのことの故に弱冠31歳で命を落としたことも知っている。そんなイメージにかないそうなのは堀辰雄であり、立原道造である。回り道をしてしまったが、梶井基次郎は存外にゴツく、強そうで、健康的に見える。もちろん、そのことは梶井⇒2025/05/08
い
6
梶井の生涯は短い。私は湯ヶ島の時代に描かれた作品が好みであり、それは宇野千代や川端と過ごした鮮やかな日々や『蒼穹』で描かれた青空や川辺にある大自然が書かせたものだと思っていた。しかし、アルバムを通して生涯をみると、両親の性格や鳥羽時代の自然体験、三高時代(大正8〜13年)の交流も全てが作品に反映されていることがわかる。中谷孝雄・三好達治と交流した印象はあったが、大宅壮一も三高の同期なのは驚きだった。2022/05/05
きつね
6
視ること、それはもう"なにか"なのだ。自分の魂の一部或は全部がそれに乗り移ることなのだ(ある心の風景)T8「肺病になりたい、肺病にならんとええ文学はでけへんぞ」p.16T11「梶井の自意識は、この「告白」にも偽善的な演技をかぎつけずにはおかない。自分の行為と、それを傍らで見ている自分。絶えず揺れ動く自分の心と、それをじっと見つめる自分。自分の分裂が意識され、自己凝視がはじまる。そして、主人公の内面と外面をスタイルをちがえて書き分けるようなプランをたててみたり…」p26T13「神経衰弱に非ざればある種の美が2013/03/26
山
2
卒論で扱う為に読んだ。写真がいっぱいあって当時を想像できた。2024/01/08