内容説明
荘介・小文吾の軍は、扇谷朝良・千葉自胤の大軍と五本松の広野で激突する。国府台の信乃・現八は、山内顕定軍の駢馬三連車に苦しめられるが、信乃は六十五頭の野猪の牙に松明をつけて戦車群へ放った。帰国の途次、開戦を聞いた親兵衛は葛西へ向い、里見義通と戦う長尾景春軍に突入する。洲崎へ押し寄せた扇谷定正の水軍は、毛野の風火の計によって猛火に包まれ壊滅した。落ち延びた定正を道節が追いつめる。しかし、その前に、巨田助友の一隊が立ち塞がる。
目次
第九輯下帙下編之上
第九輯下帙下編之中下
感想・レビュー
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Willie the Wildcat
55
第162回-176回。火蓋が切られた最終決戦!表層の専守防衛と無用な殺傷の回避の深層、”仁義禮智信忠孝悌”也。義任vs.由允、悌順vs.自胤、戌孝vs.成氏が織りなす恩。拿捕した敵将の心情の変化がその証。次に、朝良と由允の馬を射ったお気に入りの悌順、粋だなぁ。駢馬三連車vs.猪の構図に思わずニヤリ、しかもオチが成氏♪青海波の幌、そして不知底野の穴の件、戌孝の想いにグッとくる。青海波で颯爽と登場の親兵衛、ケンシロウ・黒王号の世界だ。巻末・濱田氏の解説、伏姫の菩薩の件、同感。2025/04/05
shunkichi
1
物語はクライマックスに。馬ひく戦車にたいして、牙に松明をつけた大きな猪で対抗するのが、少し可笑しかった。また音音が大活躍。船につんだ火薬を銃で撃って、船ごと爆発させて、海にとびこむ様子は、ランボーかジョン・マクレーンみたいなダイハードな婆さんである。あと、仁なんだろうけど、神薬使うのは、ちょっとやりすぎな感じに思ったのだった。それにしても、あと一冊だな。。少しさびしいかも。2013/04/09
りょく
0
VS両管領連合軍戦!! 戦の臨場感とその中でも発揮される八犬士の仁義、臣下の機転、義成の慈悲、とてもぐっときます。駢馬三連車を破る火猪の計。義成の慈悲と伏姫の加護、信乃らの機転と三拍子揃ったからこその勝ち戦だと思う。あっぱれ! 成氏と信乃・現八(と親兵衛)の対面は胸アツ。誤解が解けてよかった。三本の指に入るくらい好きなシーンです。 読めば読むほど面白さにはまっていく一方、自分の漢文や歴史、書かれた当時の風俗に対する自分の知識がないことが浮き彫りになっていく…。浅学を恥じて勉強をしなくてはと感じます。2019/03/24