出版社内容情報
公布から80年、今こそ日本国憲法を本気で考える。憲法をめぐって紡がれた物語は、国民に浸透しつつも、第二次安倍政権下で危機に直面した。その時、立ちはだかったのは意外な〝存在〟だった――。「天皇への敗北」はなぜ起きたのか? その理由を、30年前に物議を醸した「敗戦後論」、昭和の憲法学者と文人の抵抗、戦争責任まで遡って探る。戦後憲法学の試みを近代文学に準え、複雑に絡み合う「天皇・憲法・戦後」の核心に迫る。
【目次】
内容説明
”私たち”はどんな物語を信じてきたのか。戦後80年の核心に迫る、憲法×文学論。
目次
第一章 天皇への敗北―戦後日本の民主主義における憲法の物語について(戦後民主主義と憲法学者;日本における憲法学への高い関心 ほか)
第二章 天皇と憲法をめぐる運命のアイロニー―「天皇への敗北」補講(二〇一五年の絶望;世界でもっとも憲法を語る国 ほか)
第三章 「ねじれ」あるいは自己欺瞞―『敗戦後論』と或る憲法学者(加藤典洋『敗戦後論』;日本の戦争責任と謝罪 ほか)
第四章 昭和の文人、昭和の憲法学者(中野重治がいた;中野重治の「転向」 ほか)
終章 戦争責任と加害者臨床(人権の認められない「飛び地」;天皇の戦争責任 ほか)
著者等紹介
國分功一郎[コクブンコウイチロウ]
1974年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。博士(学術)。専攻は哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
msykst
7
言論として「筋を通す」ということについて2026/04/21
TM
5
今までのシリーズとは毛色の違う本。憲法論や、天皇の制度論について、長谷部先生の論稿や、樋口先生の書籍に限らず、芦部、浦部、辻村など各先生方の基本書も読んできたので、概ね学説の考え方は把握してきたつもりだけど、法学者の考えというよりは、その歴史的位置づけに近い話か。誰かが書いた文章をスタート地点に置くのは哲学者っぽいなと感じたし、「ねじれ」について明確に言語化しているのは素晴らしいなと思ったけれど、結論に至る論理構造は、結局感想文的なものにしか感じなかったので、そこが物足りない感じがした。2026/05/02
かがみ
4
憲法9条と1条の関係の今日的変化から戦後民主主義を問い直す一冊。本書のいう日本国憲法のなかに立憲主義が危機に瀕するとそれを守るために天皇が前にせり出してくる構造とは日本国憲法を規定する構造であると同時に、例えば河合隼雄が「中空構造」という言葉で言い表したような日本国民の精神性そのものを規定する構造であるようにも思える。そうであれば本書のいう「天皇への敗北」という「現時点での戦後民主主義の到達点」をいかに乗り越えるかという課題は日本国民の精神性を根本から問い直す課題となるのではないか。 2026/05/01
etoman
3
シリーズを読んできて、今年は「天皇への敗北」とは、哲学者の国分先生がいったい何を書いているのかと思っていたら日本における戦争責任の話とは驚いた。 昭和100年ということもあり、この手の本を幾つか読んでいたので新しい視点を授かった感じ。併読していているのが『絢爛の法』というのも、憲法や法律、天皇制、立憲主義というものを考えるうえで良かった。2026/05/08
Tera
3
戦後日本国憲法に天皇制が組み込まれている背景。権力の暴走に対する抑止力としての天皇という位置付けであり、安倍政権の暴走を止めたのもこの仕組みによるものだった。これを著者は天皇への敗北と称して、論を展開している。敗北は、天皇と仕組みに頼らざるを得なかった民主主義の未成熟と言い換えることができる。他方、この天皇は先の戦争の責任者でもあり、それを意図的に曖昧にすることによって、戦後の権力暴走に対するブレーキとして設置された。 本書では、曖昧にされた天皇の責任に遡り、責任のねじれに光を当てることを期待している。2026/05/06
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