出版社内容情報
ただ前進するだけが、生きることではない。不安と混迷の時代を生き抜く〈反時代的〉思考法。
内容説明
ただひたむきに前を向いて「前進」するだけが、生きることではない。いつの時代も、人は何万年もの記憶の集積の上に今を生き、自分もまた忘れがたい過去の集積体なのだ。雑事に追われる日々の中に、無意識の声、遠い過去からの足音が聞こえてくる。変わり続ける世相の中にも、予測しえない未来がふと浮かぶ。ときに反時代的であっても、後ろを向きながら前へ進む―混迷と不安の時代を生き抜く「背進」の思想。
目次
第1章 無意識の声に耳を澄ませる
第2章 記憶の足音が聞こえるとき
第3章 仕事は日々の雑事の積みかさね
第4章 デジタルよりもモノは語る
第5章 言葉に尽くせぬこともある
第6章 幻想のポストコロナへ
著者等紹介
五木寛之[イツキヒロユキ]
1932(昭和7)年福岡県生まれ。作家、作詞家。早稲田大学露文科中退後、編集者などを経て『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、『青春の門 筑豊篇』他で吉川英治文学賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
138
【新書】のサイズが好きだ。だが、専門書のイメージが常にあってちょっと敷居が高く感じるのは私だけだろうか?五木先生の著書はさほど読んではいない(正直でしょ?・・汗)ので、おこがましいのは自覚しているが自分のレビューだものね(あくまでも自分に甘い・・汗)タイトルからしてどんなジャンル?読みながら頷きつつ、ちょっと私にはなに言ってるのかわからないのもあったのが逆に面白い。長く生きてそれこそ時代を体感した方だから『〈反時代的〉に生きる。』と言える気がする。今しか知らずの若者にどう響くのかなぁ・・ 2022/04/08
あすなろ
89
五木先生、お元気だと先ずは思う週刊新潮連載エッセイ集。そして今も変わらぬ先生の姿勢は現代を明確に捉えられる事。本書はコロナ禍を踏まえ、ご自身の変化から社会の変化迄明確に洒脱な筆致で記されているのである。ご自身は夜型から朝型に変られた。社会も夜型から朝型に変わるであろう、ラジオが見直される等々。確かにそうなのである。丁度昨日馴染みのマッサージ師とその様な話を皆していると話したばかり。先生ももう90歳。それでこの現代を風刺した洒脱なエッセイの連載とは凄い事である。まだまだ拝読したく、よろしくお願い致します。 2022/09/25
Cinejazz
16
御年90歳を迎えられた直木賞作家<五木寛之氏>が、新型コロナウイルス襲来の余波を受け〝後ろを振り返っては前に向かって進む「背進」の思想〟を唱えた36編の随想集。 「ステイホ-ム」を現代の隠遁生活の薦めと思い、日々の暮らしの様々な枠を取っ払い、反時代的な生き方のなかで自らを適応させ、過去の記憶とデジタルな人生観との融合を目指す・・・「断捨離」に抵抗し、原稿は400字詰め原稿用紙と万年筆、パソコンなしの電話はガラケ-と、生きていくのに困難なほどではないという筆者の、刻一刻と変化する時代へのジレンマが痛々しい。2022/08/30
乱読家 護る会支持!
4
週刊新潮に連載のエッセイ「生き抜くヒント!」を新書化したもの。 やはり、一流作家の文章は読みやすい。 すっすっすっーっと読める。 短い文章で、リズムがあり、 文章と文章がつながり、ときに飛躍する。 五木寛之さんの五感からの情報の受け取りと、思考の自然な流れが、まるで僕自身が体験して、考えていると錯覚するくらい、五木寛之さんとシンクロしている感じ。 お見事。2022/09/01
アッキー
4
背進なのに、イツキセンセイの超前向きな文章に元気をいただいた。2022/05/08
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