新潮新書<br> 日中戦後外交秘史―1954年の奇跡

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新潮新書
日中戦後外交秘史―1954年の奇跡

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  • サイズ 新書判/ページ数 240p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784106108556
  • NDC分類 319.102
  • Cコード C0221

出版社内容情報

まだ中国に数万人の日本人が残留していた時代、問題解決のため丸腰で来日した中国人女性がいた。戦後日中外交の秘史を再検証する。

内容説明

一九五四年十月三十日の夜。一人の中国人女性が羽田空港に降り立った。当時の日本にとって、数万人の残留邦人の引き揚げは急務。一方、建国したばかりの中国は、西側諸国との関係を築くための突破口を探していた。まだ日中に国交がない時代、綱渡りの外交の主人公を務めたのが女傑、李徳全だった。その滞在中の言動は行く先々で熱狂と波紋を呼び、両国間に奇跡が―戦後史の中に埋もれていた秘話を丹念に掘り起こす。

目次

第1章 日本人の引き揚げと赤十字(六六二万人の引き揚げ;不安定だった新中国 ほか)
第2章 冷戦下の日中のかけひき(サンフランシスコ講和条約;トロント会議でもつれないまま ほか)
第3章 手渡された「戦犯名簿」(「日本の土さえ踏めば、すなわち勝利」;羽田に到着した先発隊 ほか)
第4章 一四日間の滞在が残したもの(北京からの援護射撃;吉田茂の外遊 ほか)

著者等紹介

加藤徹[カトウトオル]
1963(昭和38)年東京都生まれ。明治大学法学部教授。87年東京大学文学部中国語中国文学科卒業、93年同大学院博士課程単位取得満期退学。著書に『京劇』(サントリー学芸賞)など

林振江[ハヤシシンコウ]
1967(昭和42)年生まれ。明治大学特任補佐、北京大学日本研究センター常務理事。北京大学に留学し、2001年国際関係学で博士号を取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kawa

30
戦後のある程度長い期間の日中外交史の秘密を知りたいイメージで手に取った一冊。しかし、朝鮮戦争休戦1年後の落ち着かない冷戦期、戦後の中国から未だ引揚できていない人々の処置をめぐって来日した李徳全女子らの日本での動向に焦点をあてた書。やや肩すかしながら、ワンイシューで新書一冊は凄い。国内で左翼運動が盛り上がる中の狂騒的騒動。朝鮮戦争での中国参戦、ソ連が裏から中国をコントロールしていたも含めて、知らなかった戦後の史実に触れられたことが収穫。2023/10/24

nagoyan

9
優。「日中戦後外交秘史」という書名はいささか大仰か。むしろ、副題の「1954年の奇跡」こそ、著者らの言いたいことか。朝鮮戦争の余燼冷めやらぬ冷戦のさなか、対日関係を西側との関係樹立の突破口にしようとする北京政府の思惑と「対米従属」から密かに脱しようとする朝野の日本人たちの思惑が絡みながらも、抑留者の帰国問題に日中赤十字が取り組む。わけても、日本赤十字社の島津社長の奮闘。そして、周到で手ごわいながらも洞察力決断力に富む周恩来、廖承志。先人の苦労を思えば、この「奇跡」を簡単に壊してしまうわけにはいかぬと知る。2020/04/09

takao

1
ふむ2025/06/28

バイトアルヒクマ

1
終戦後の中国からの引き上げ交渉と、その対価として日本が認めた1954年の李徳全来日を中心にしていた。冷戦真っ只中なので、右翼や台湾の刺客から李徳全を守るために普段は険悪な警察と左派団体が協力してるのが良かったね。2022/07/20

しまうま

1
各々に思惑があろうとも双方関係者の尽力で引き上げが実現された歴史は称えたい。2020/07/20

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