内容説明
「マスコミの使命は権力と戦うことだ」そんな建前でポジションを固定して良いのだろうか。必要なのは事実をもとに是々非々で議論し、より良い道を模索することのはず。経済や安全保障を印象と感情で語り、被災地の悪しき風評を広める。その結論ありきの報道は見限られてきてはいないか―人気ラジオ番組パーソナリティとして、また現場に出向く一記者として経験し考えてきたことを率直に綴った熱く刺激的なニュース論。
目次
1 基地問題に「分かりやすさ」を求めるな
2 「軍靴の響き」ってもうやめませんか
3 安全保障を感情論で語られても
4 「かわいそうな被災者像」ばかりでいいのですか
5 一体風評を広めているのは誰か
6 データに基づかない経済の議論に意味はあるか
7 経済は人命を左右する
8 「メディアは反権力であれ」への懐疑
9 それでも現場に行く理由
著者等紹介
飯田浩司[イイダコウジ]
1981(昭和56)年神奈川県出身。横浜国立大学経営学部卒業後、ニッポン放送に入社。「ザ・ボイス そこまで言うか!」アンカーマンを経て、2018年からニュース番組「飯田浩司のOK!Cozy up!」のパーソナリティ。『「反権力」は正義ですか―ラジオニュースの現場から』が初の著書(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
67
マスコミが語る「反権力」について、マスコミの中の人が述べた一冊。ただ大部分は辺野古での現地の声や沖縄での自衛隊の活動、その後の被災の様子とマクロの部分は少なく一つ一つの問題というミクロな部分で語られている。いや、それはそれで勉強になるんですよ。沖縄でいかに不発弾が見つかっているのとそれを解除する自衛隊の活動や東日本大震災の現地がロボットやドローンの特区になってるなど、普段なら知れないし。テレビも新聞も見なくなって久しいが、相変わらず彼らが単一のドグマで動いている事はわかった。ま、恐竜みたいなもんですな。2020/01/24
てつのすけ
64
報道に携わる方の中にも、正常な思考を持っている方がいるということがわかった。私は、テレビに出ているコメンテーターと呼ばれる人物ほど、いい加減で責任感のない人種はいないと思っている。本書を読み、このことをあらためて実感した。著者の考えには同感だ。私自身も、何が正しいのか、常に意識しながら情報を精査していく視点を持ちたいと、あらためて思った一冊だった。2020/05/23
トムトム
56
知人に借りた。中立の立場で安倍政権、震災、経済などについて説明している。私自身、マスコミ嫌いなので共感できました。「科学が風評に負ける、もどかしい社会」という言葉に諸手を挙げて同意します!一人ひとりが知識をつけて、自分で考える習慣を身につけるべきだと思います。何でもかんでも批判して、他人が言った事を知識人ぶって拡散して、「じゃあ、アナタはどう考えるの?代替案はあるの?」と聞かれれば何も答えられない人が多すぎる。現代は本当の知識人が生きにくい世の中。2020/02/29
TakaUP48
49
N放送「ザ・ボイス~」を経て「OK!Cozy up!」のパーソナリティを務める筆者。メディアは「反権力」でアレは良しとして、「反権力」=正義は?。加計学園問題のWGの議事録を時系列に読み、文科省のサボリ・獣医師会の圧力がみえ、総理意向の不公平な利益誘導には無理があると指摘。メディア等の憶測で話を広げ、予想通りの応答がなければ、いつまでも納得いかないと言う!主張には根拠が必要なのに、生理的嫌悪感だけで「エビデンス?そんなものねえよ」と記事を書く記者の出現に恐怖。完全失業率の減は自殺者数減という相関に驚いた。2020/09/05
姉勤
48
著者のラジオ番組のリスナーなので、本書の主張には理解できるところが多々。まとめサイトのような感じか。新聞、TV、ラジオが、オールドメディアと評されて久しい昨今、最もマイナーなラジオの、夕方や早朝という時間帯。地上波では、あまり登場しないジャーナリストや評論家による、大見出しでは辿れない解説に、ソース,エビデンスに踏まえた論説に、喧伝されているニュースの裏側を垣間見よ、と。おかげで情緒で短絡しないこと、思考のヒントにもなっている。では大メディアとは敵なのか?それこそ彼ら同様の原理主義の罠に落ちることなのだ。2020/03/16