出版社内容情報
社会とのつながりを保ちつつ、自立を選ぶアメリカ人の姿から、日本の高齢者支援のあり方を考える。
高齢者専用住宅、食事配達のNPO、シニアセンター……。 独居老人と社会のつながりを確保するための取り組みを紹介し、ひとりで死んでいく「自立死」を選ぶアメリカ人の姿から、日本の高齢者支援のあり方を考える。
内容説明
身体が悪くなっても、子供が近くにいても、アメリカの老人は最期まで極力ひとりで暮らそうとする。個人の自由と自立こそ、彼らが最も重んじている価値だからだ―。高齢者専用住宅、配食サービスのNPO、複数世帯がつかず離れずで暮らすコーハウジングなど、独居老人と社会の紐帯を確保するためのさまざまな取り組みを紹介すると共に、「自立死」を選ぶアメリカ人の姿から、日本の高齢者支援のあり方も考える。
目次
第1章 一人で生きることを前提にした社会
第2章 独居死、必ずしも「孤独死」ならず
第3章 不幸な結婚生活による「同居の寂しさ」
第4章 100歳を過ぎても働き続けたい
第5章 独居者の孤立を防ぐ地域支援体制
第6章 コーハウジングという住み方
第7章 「おひとりさま」の不安を取り除くために
著者等紹介
矢部武[ヤベタケシ]
1954(昭和29)年埼玉県生まれ。70年代半ばの渡米以降、日米の両国を行き来し、取材・執筆活動を続けている。米「ロサンゼルスタイムス」紙東京支局記者等を経て、フリーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
calaf
12
Living Together Loneliness(同居による寂しさ)か...確かにそういうのもあるのかも。だとすると、一人暮らしの割合の変化はあまり関係ないし、寂しく思いながら暮らしている日本人はもっともっと多そうです。何だか、日本人はこの問題の捉え方を間違っている気もする...2012/03/30
ja^2
6
個人の自由と自立を重んじるアメリカは、高齢となっても自分の子供達に面倒を見てもらうのは潔しとしないのだという。そこまではアグリーだ。最近は日本でも多くの人がそうだろう。▼そして、その鍵となるのは地域社会との交流だという。上野千鶴子氏もそう言っている。だがそれが難しい。その途端に自由でいられなくなるのだ。▼そうした中で、ヒントとなるのは第4章だ。仕事の継続である。いくつになっても働き続けること。働けば多少は自由でなくなるが、自立と健康の維持が得られる。社会貢献への自覚も生まれ、自ずと社会との交流も成立する。2014/11/15
おらひらお
6
2012年初版。最近、孤独死が話題になっていますが、アメリカの状況を見たものです。アメリカでは基本的に個人が確立していて、老後も夫婦もしくは一人で過ごすことが多く、公的・NPOも充実していて、餓死や孤独死はほとんどないことが指摘されています。あと、貧困大国アメリカで批判されていたフードチケットについて、本書では餓死を防ぐものとして、評価されています。すくなくとも、ITも進んでいるので、日本でも死後、数週間もほおっておかれる状況だけは簡単に防ぐことができそうですが・・・。2013/09/17
orihuzakawagon
5
正直、孤独死したら回りに迷惑かな?は思うが、孤独死が可哀想だとは思えない人間なので、「自立死」に込められた意味に共感してしまった。あと、アメリカでは行政サービスが個人単位を前提に運営しているが、日本では家庭単位が前提で運営されていることが日本の孤独死の問題を引き起こしているという指摘は、孤独死ではなく今そしてこれからの日本の行政システムが抱える問題点だと考えます。2012/03/14
忠犬大吉
3
アメリカの老人の暮らしの例 こんな生活ができるようになればいいなぁと思うが、日本ではどうでしょうかねぇ 老人の生活の補助を、金銭のばらまきではなく、行政サービスとして行う。雇用にも繋がる。 近頃は言われなくなったが、日本はアメリカの10年、20年後を追っていると言われていた。 最近、郊外や地方都市を車で走ると、20年前のアメリカ合衆国のロードサイドにそっくりだなぁと思う。 日本もそうなるのかな?2013/10/06