内容説明
「お坊さんになって悟りたい!」―。悩めるドイツ人青年の危機を救ったのは、祖国で出会った坐禅だった。出家の覚悟を決めて来日するも、そこで見たものは、この国の仏教のトホホな姿。算盤を弾くばかりの住職、軍隊のような禅堂、仏教に無関心な世間…。失望と流転の末、ようやく辿り着いた理想の修行は、小さな山寺での自給自足・坐禅三昧の生活だった。日本人が忘れた「一瞬を生きる意味」を問う、修行奮闘記。
目次
第1章 ドイツで仏教と出会う
第2章 憧れの修行生活
第3章 出家はしたけれど…
第4章 京都てなもんや禅寺修行
第5章 師匠との決別
第6章 ホームレス雲水
第7章 大人の修行
著者等紹介
ネルケ無方[ネルケムホウ]
1968年ドイツ生まれ。禅僧。兵庫県にある曹洞宗・安泰寺住職。高校時代に坐禅と出会い、仏道を志す。1993年、安泰寺にて出家得度。京都の名刹や大阪城公園でのホームレス修行生活などを経て、2002年から現職。檀家ゼロ、自給自足、坐禅三昧の修行生活をおくっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
44
思っていたイメージと違っていた。もっとくだけた話かと思いきや意外とまじめな話。 本来、薄いながらも仏教徒であるワタシよりも著者はずっと禅とはということを理解している。宗教や信仰というものに国境はないことなんだ。禅についてもういちど 勉強してから読んでみなさい! と門前で一喝された思い。決して本が悪いのではなくわたしの知識不足也。 2015/04/10
ようはん
22
寺での厳しい修行は著者が最初に修行した安泰寺辺りはまだ理解でき、後に住職となった後の指導も理解はできる。しかし中盤の京都の禅寺修行の件は何というか、一昔前の野球部や相撲部屋のシゴキ等の悪しき体育会系と何ら変わらない。それはそれで確かに得る物はあるだろうが… 2024/04/24
kazuさん
19
ネルケ無方さんが日本での禅の修行で感じたことを、道元の著作から文章を引用しながら、書き綴っています。ドイツのベルリン自由大学で修士号を取り、博士号取得のために京都大学教養学部に留学したが、途中から、安泰寺での修行に入り、その後出家し、更に安泰寺の住職となった。座禅と作務を両立させ、自分を投げ出すことが悟りへの道だと確信するに至ります。道元の"身心脱落"の境地と思われます。2021/08/20
さっちも
14
人はなんの為なぜ生きるという根元的な問いを、仏教に答えを求めたドイツ人の話。私は結構、泣けた。生き迷ってる人には面白いかも。著者の祖父は牧師なので、仏教とキリスト教の比較宗教論みたいで説得力がある。2015/08/22
calaf
12
うーむ、これだけ変な人じゃなきゃ現在日本で住職なんてやってられないのだろうなぁ...(ぉぃ!)それにしても、伯父の関係があったとは言え、どうして*日本の*寺で修行したいなんて思ったのだろう...そのあたり、まだ理解できないかも...2013/01/04