内容説明
人々のつながりの崩壊、ネットや携帯電話の急速な普及など、社会はこの十年余りで大きく様変わりした。戦後、犯罪を助長してきた歪んだ「自由」と「人権」、裁判所による前例主義、垂れ流しのネット犯罪への無策、過剰業務に忙殺される警察―女性と子どもをはじめ、誰もが「被害者」になる危険性はこれまでになく高まっている。日本の治安の今、そして刑事司法の病巣と処方を示す元警察庁キャリアによる渾身の提言。
目次
序章 平成の犯罪を俯瞰する―その諸相
第1章 子どもを守れるか
第2章 女性を守れるか
第3章 社会の変容から考える
第4章 歪んだ自由のかたち
第5章 刑事司法の壁
第6章 少年犯罪への立ち遅れ
第7章 ネット犯罪への無策
第8章 インフラから犯罪抑止を
最終章 警察の限界
著者等紹介
後藤啓二[ゴトウケイジ]
1959(昭和34)年兵庫県生まれ。弁護士。東京大学法学部卒業後、警察庁に入庁。大阪府警、愛知県警各部長、内閣参事官(安全保障・危機管理担当)を歴任後、2005年に退官。後藤コンプライアンス法律事務所を設立し、リスク管理など企業法務と犯罪被害者支援に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
5
2009年刊行。元警察官僚の弁護士。「ECPAT/ストップ子ども買春の会」の支援弁護士▲軽犯罪法は、〈正当な理由なく隠して携帯すること〉を感じている。鉄パイプや金属バット、小型ナイフをあらわに持ってりゃ不法じゃないのね▲〈国民が警察に第一に望むのは、犯罪の未然防止〉。ほか、取り調べの可視化には自白を取りにくくなるので反対してる。2017/09/17
たこやき
4
全体を通して、著者がかつて所属していた「警察」よりの論調になっているのが気になる。そもそも、著者の言う「治安悪化」からして、読んでいて正直なところ疑問だし、仮出所を巡っての部分では、正直なところ、ただの無知ではないか? と感じる部分もある。警察が、雑務に追われて、極めて多忙な状態にある、など、指摘のいくつかについては同意できるもののの、全体を通しては疑問を感じる部分が多い。2010/01/05
おらひらお
3
2009年初版。警察官僚から弁護士に転身した人の一冊。ほとんど、警察側からの視点で描かれています。たしかに被害者の立場に立つともどかしいところもありますが、警察権力の増大はあまりいいことがないような気もします。前例もあるし・・・。2013/06/28
Humbaba
2
警察の仕事量は飽和状態にあり,任せるべきところと自分で対処すべきところがあるという点,及び,加害者の人権を重視するのも大切だが,それ以上に被害者を大切にするべきというところは納得できた.2010/01/28
新橋九段
1
元警察官の書く犯罪に関する論考がいい加減であるという事例がまた増えてしまった。2020/01/22