内容説明
「ふるさとは大連」―遼東半島にある港街にしてシベリア鉄道の玄関口、大通りにはアカシアが連なる。そこはかつての植民地においてもっとも美しい都市だった。一方で、張作霖爆殺、満州事変と激動の時代、元憲兵大尉・甘粕正彦、男装の麗人・川島芳子、張学良、謎の阿片王、猟奇的殺人の妖婦など、怪人たちが闊歩する。多感な少女時代をかの地で過ごした著者が記憶を辿り、歴史書にはない貴重なリアリティを再現する。
目次
第1章 小学生の頃見た旅順の風景
第2章 女学生時代―張作霖爆殺事件の真相
第3章 避暑地の海で見た溺死体
第4章 阿片王の住む町
第5章 満州事変余聞
第6章 憧れの内地で学生生活
第7章 帰省した夏休みの出来事
第8章 豪華なる春、厳しく楽しい冬
第9章 児玉邸殺人事件の顛末
第10章 内地に帰り、思わぬ転機が
第11章 再び訪れた戦中の満州
著者等紹介
松原一枝[マツバラカズエ]
1916(大正5)年、山口県生まれ。父の勤務先、大連で少女時代を過ごす。『お前よ美しくあれと声がする』で田村俊子賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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i-miya
24
2010.07.02 (はじめに) 昭和12年まで大連にいた。0歳~21歳、父母とともに。スケート場に赤い旗。春が近い。日清戦争でロシアが大連建設を開始。M37.05 日露戦争で日本が大連を占領。中央に200メートルの大広場。放射状に10本の大通り。アカシアの街路樹はロシアが植えた。昭和10年の人口 日本人13万人、満州人22万人。満鉄本社。大連彌生高等女学校。福岡に6年留学。遠足は日露戦争の戦跡巡り。昭和7年 満州国誕生。浮かれる大連、私も大連。2010/07/03
mit
11
著者が生まれ女学生時代を過ごした、戦前~戦中の大連の街や人々が鮮やかに描かれている。主には著者の個人史であるが、その頃の社会的、歴史的事件の説明があり、事件の関係者に近い人との繋がりやこぼれ話も交え、読者を飽きさせない。植民地や戦争の是非ばかりを中心にすると、過去の日本や日本人の現実の姿は見えなくなってしまう。当時を体験した人が減ってきている現在、過去の世界の生き生きとした姿を伝えてくれる本書のような存在はありがたい。もちろん全てが事実とは限らないし、もはや幻のような世界の話とも思えてしまう。2014/06/12
映画屋
3
やりすぎた日本。2013/10/21
○△□
2
過去の常識を今の物差しで全否定するのは違うと思うけど、この時代に生まれた人たちは大変だったと思う。私には苦手な文体で読みづらかったけど、当時の大連、日本の様子を知れて勉強になりました。2023/03/04
たわし
2
「日本が危ないなら、皆で大連に疎開していらっしゃいって――」「何を馬鹿なことを、祖国あっての植民地ですよ」2013/03/12
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