内容説明
釈迦仏教は葬儀と無関係。大乗仏教は釈迦仏教にあらず。各種の儀礼は道教と儒教からの拝借。お経は葬儀用に書かれたものではない。中国で創作されたお経も少なくない。往生と成仏は異なる。死後戒名は江戸幕府の押し付け。永代供養は「永代」ではない。仏教界にも「勝ち組」と「負け組」がある。…お寺やお坊さんにとって都合の悪い話にも遠慮なく触れ、仏教の基本と歴史をわかりやすく解説する。
目次
第1章 人は死んでどうなるの(そもそも「戒」とは;従来の死生観が通用しなくなってきた ほか)
第2章 仏教がやって来た(祖霊まします我が山河;宗教心の源にあるもの ほか)
第3章 大乗仏教は釈迦仏教にあらず(「悟り」から「慈悲」へ;仏教と葬儀は無関係だった ほか)
第4章 あの世という世界(浄土教と西方浄土;往生と成仏はどう違うのか ほか)
第5章 葬式仏教に徹すべし(江戸幕府の寺請制度;戒名はこうして作る ほか)
著者等紹介
村井幸三[ムライコウゾウ]
1925(大正14)年福島県生まれ。仏教研究家。盛岡高等農林学校(現・岩手大学農学部)卒業。農林省、福島民報、福島テレビに勤務。1985年頃より仏教史の研究に没頭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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月讀命
74
お釈迦様が説いた仏教とお葬式は全く関係の無いものであり、そこで唱えられるお経も、また葬儀の為のものでは無い。似た言葉に、往生と成仏があるが、意味は全く違う。死んで了う事は往生で、厳しい修行の結果、仏の域に達することが成仏である。仏教を志さなくては絶対成仏できないし、死んでも、往生際が悪く、立ち往生するのが当たり前というところでしょうか。仏教の基礎と歴史を語りながら、お寺や仏教界の裏話を赤裸々に暴露する本。姉妹本の『お坊さんが隠すお寺の話』も読もう。2013/04/07
AICHAN
44
図書館本。釈迦仏教は葬儀と無関係、大乗仏教は釈迦仏教ではない、各種儀礼は道教・儒教から拝借したもの、お経は葬儀用に書かれたものではない、往生と成仏は異なる、釈迦は霊の存在を否定していた、死後戒名は江戸幕府の押し付け等々、日本の仏教諸派(ほとんどが大乗仏教)が嫌な顔をするような話題を仏教界にやや遠慮しながら紹介している。仏教とは何か? われわれ日本人はあらためて問い直す時期が来ていると著者は指摘する。「葬式無用、戒名不要」の私の信念がより固まった。2023/08/13
かりんとう
36
仏教研究家が、仏教の発祥から現在の葬式仏教に至るまでの経緯をやさしく解説した本。「南無阿弥陀仏」が仏陀とほぼ無関係なことも知らなかった私、無知ここに極まれり。そもそも仏陀の教えは自己修練による解脱を目的としており、信心による死後の救済を約束している現在の仏教とは根本的に異なる。いわば日本型仏教に至るまでの紆余曲折は、人間の強さと弱さが絡み合いドラマチックだ。著者は寺の収入源である戒名制度に鋭く斬り込む。戒を守らないお坊さんに霊験があるのかは知らないが、後ろ指を指す権利が私にないのは確か…勉強しよう。2019/10/12
ビイーン
32
釈迦仏教は葬儀とは無関係。そして死後戒名は江戸時代に幕府が押し付けしたもので、お釈迦様の教えに無いという。本書は高額な戒名が不要な事を論理的にわかりやすく説明してくれている。2023/05/27
金吾
29
○仏教の変遷をわかりやすく書いていて面白かったです。特に釈迦仏教から大乗仏教、日本風への変化はすごいなあと思いました。2023/12/21