内容説明
雅子さまの健康問題や皇室典範改正論議など、伝統と革新の狭間で揺れる平成の皇室。変わるべきか、変わらざるべきか―。だが、こうした天皇家の苦悩は、すでに「明治」から始まっていた。かくも堅苦しく息苦しいシステムが、なぜ脈々と生き続けるのか?中世から近代への変貌を試みた明治皇室まで時代を遡り、天皇や女官、侍従たちの「奥」での何気ない生活ぶりを見つめることで、そこに潜む皇室問題の核心に迫る。
目次
第1章 御内儀の長い朝
第2章 御学問所の優雅な午前
第3章 御内儀の長い長い昼食
第4章 御学問所の何もない午後
第5章 御内儀の賑やかな夕食
第6章 眠りにつく宮殿
第7章 様変わりする歴代皇室
著者等紹介
米窪明美[ヨネクボアケミ]
1964(昭和39)年東京都生まれ。学習院大学文学部国文学科卒業。現在は、学習院女子中等科の非常勤講師として作法を教えている。一方で、近代宮廷のシステムに興味を持ち、それを具体的な儀式の作法から探り、解明する研究を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Aya Murakami
65
図書館本。 明治天皇…。音痴だったのですね。しかし「頼まれて歌っている」と言い訳しながら頻繁に歌っているところから音痴だと気にしていながら歌うが大好きな気持ちは止められない。そんなかわいらしくて人間くさい一面が感じ取れました。2019/04/21
Sakura
12
「明治宮殿のさんざめき」がよかったのでこちらも読んでみたが、だいぶ話がかぶってしまった感じ。今の時代は効率のよさやアウトプットを求められるけど、この時代は価値観が全く違う。意味があろうとなかろうと、時間が余ろうと、お上の言われたとおりそのままに行うことが何より重要。そんな 世界が今のご時世でも政界とかに残ってそうだなーなんて思ったり。2016/09/02
おらひらお
4
2006年初版。これは結構面白い。今の皇室の原点ともいえる明治天皇の日常を記録から読み解く一冊。大正・昭和期もまとめて欲しいところです。2019/04/05
siomin
4
明治天皇の日常を追った新書ですが,これが面白い。早起きしても侍従が困るから寝床でひたすら午前8時を待ち,散歩したくても出先でお目見えが許されない下働きがいたらかわいそうだから部屋に閉じこもり和歌を詠みふける毎日。風呂もゆっくりつかれず,毎日検便までされる。マンガに出てくる王様は傍若無人にふるまっていますが,明治天皇は気を遣って一日を過す「窮屈な」生活だったようです。伝統を守るために犠牲になっているのか。そういえば,平安貴族も年中行事に縛られて多忙で気を遣ってばかりいたとかで,上の立場の人も楽ではない。 2017/05/30
NoDurians
4
伝統の意味と価値を考えるには好材料。『現在私たちが「伝統的な風習」と考えていることの多くは、実は中・下級武士の生活風習を基本にすえている「女が煙草をすうなんて」と眉をひそめるのもその一つだが、生活風習は往々にして階級により異なることは理解しておくべきだろう。』p.43 皇后美子の喫煙習慣について書かれた部分だが、これを読むと、伝統が、伝統がという人々が信じているものはもしかすると底の浅い物かも知れないと思う。伝統の本質を見抜き、新しい伝統を作っていく気概が必要だ。2011/12/31