新潮新書<br> 数学を愛した作家たち

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新潮新書
数学を愛した作家たち

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  • サイズ 新書判/ページ数 191p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784106101670
  • NDC分類 902.8
  • Cコード C0241

内容説明

自らの描いた数学教師「坊っちゃん」より、はるかに数学が得意だった漱石。数学が苦手で、士官学校の受験に失敗した二葉亭四迷。父親や社会の偽善を憎むがゆえに数学に没頭した、少年時代のスタンダール。英国の科学・数学偏重の風潮を、ガリヴァーに托して皮肉ったスウィフト―。東西11人の作家と数学、作品と数学にまつわるエピソード集。文学的素養や発想法に着目した、古今の数学者たちについても触れる。

目次

作家と数学
「坊っちゃん」より数学が得意―夏目漱石
試験さえなければ数学は面白い―正岡子規
数学教師は異常性格者―泉鏡花
数学ができなくて士官学校不合格―二葉亭四迷
幾何学で女房教育―石川達三
和算小説の先駆者―新田次郎
日本の古典と計算―井原西鶴
九九を知らなかったイギリス貴族―スウィフト
数学にも偽善がある―スタンダール〔ほか〕

著者等紹介

片野善一郎[カタノゼンイチロウ]
1925(大正14)年東京生まれ、東京物理学校(現東京理科大学)高等師範科数学部卒。海軍技術研究所、旺文社などを経て最終職は富士短期大学教授。専門は数学史、科学史、数学教育史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

袖崎いたる

13
数学者が趣味の文学作品をネタにして、文系と理系という垣根の(たとえその区別が無意義ではなくとも)バカバカしさを説く本。あるいは数学的能力の脱構築かしら?著者が自認してもいるその平凡な文体は良くも悪くも読み易く、かなり手軽。どっちかっていうと文系の人向けへの数学入門一歩手前な観がある。スタンダールやヴァレリーの西欧勢のエピソードに一番数学への背を押された私。そういった点では充実を覚えるけれど、著者はもっと冒険してみてもいいと思う。「結局小説家の能力と数学的素養の連携はよーわからん」てのにはゲンナリですわい。2016/11/28

猫丸

11
文学者サイドからの数学観を点描。論を立てようなどとの考えはない気軽なエッセイである。やはり学生時分に試験で苦しめられた怨念が残る場合がありつつも、趣味的アプローチとしてなら概ね好意的なようだ。よく言われるように、冷徹厳粛な論理の妥協と偽善を許さない潔さが心地よい、というのがだいたいのところらしい。これを裏返せば「無味乾燥で非情」みたいな定型的嫌悪感にも転移し得るのだが。数学教育業界では「論理的思考力の涵養」を掲げることが多い。この見解はまったくのウソでないにしても牽強付会の誹りは免れぬだろう。2021/05/24

こーこ

7
数学の不得意な文系学生のための読み物として学生対象の小冊子に掲載した小文がこの本の原型らしい。たしかに、、、私だったら目に止めるコラムだ。とはいえ、文系学生ではなかったが。2014/10/31

たくのみ

5
各章のサブタイトルをみてもわかるように、タイトルと異なりやっぱり数学好きは少なかった。ただ、数学がらみの作品がこんなに多かったのかと驚く。和算の時代の派閥抗争を描いた、新田次郎の『算士秘伝』のエピソードが、「天地明察」より「浜村渚」シリーズみたいで楽しそう。二貫の銭が13乗されて1億8192万になるエピソードがさりげなくある西鶴の『日本永代蔵』も読んでみたくなる。2013/11/23

袖崎いたる

4
数学の形而上学すなわち方程式。ヴァレリーは数学は学ではなく訓練であり舞踏であるという。んで、「人間の思考が、きめられた記号の操作という行為の反復によって無限に拡がってゆく。数学をやったものでなければ、経験することのできない快感である。」p167と。まったく、焚き付けてきやがるこった。2022/08/10

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