新潮選書
麻薬とは何か―「禁断の果実」五千年史

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  • サイズ B6判/ページ数 246p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784106036385
  • NDC分類 368.8
  • Cコード C0336

内容説明

人類が麻薬の王様コカイン&ヘロインと出会うのは、19世紀の欧州、産業革命と帝国主義の時代だった。一方、米国は麻薬を犯罪化して、禁酒法という壮大な実験を開始した。そして戦後日本は覚せい剤大国となり、米国西海岸ではLSDが若者文化の狂騒を生む…。叙事詩に記されたアヘンから、現代のジャンキー問題や薬理学まで、ドラッグの五千年史を読み解く。

目次

序章 麻薬―精神に作用するクスリとは?
第1章 麻薬・文明・万能薬―薬物の原初的使用とその伝播
第2章 コカインとヘロイン―十九世紀欧州の発明
第3章 ドラッグのアメリカ―“理想の国家”と麻薬の犯罪化
第4章 覚せい剤と日本―もうひとつの戦後史
第5章 LSDとヒッピー、エクスタシーとレイヴ
終章 麻薬と人類の未来

著者等紹介

佐藤哲彦[サトウアキヒコ]
熊本大学文学部教授。1966年神奈川県生まれ。京都大学文学部を卒業後、出版社勤務を経て、京都大学大学院へ。博士(文学)。専門は社会学。著書に『覚醒剤の社会史―ドラッグ・ディスコース・統治技術』(東信堂、日本犯罪社会学会奨励賞受賞)などがある

清野栄一[セイノエイイチ]
作家。1966年福島県生まれ。慶應大学経済学部卒業。20代はじめから世界を旅しながら数多くの作品を執筆、「ロード・ノヴェル」と名付ける。95年「文學界」新人賞受賞。DJとしても活躍している

吉永嘉明[ヨシナガヨシアキ]
ライター、編集者。1962年東京都生まれ。明治大学文学部卒業。大学生時代から各種薬物を体験するが、20代ですべての使用を断つ。「別冊宝島」や『危ない1号』などの編集・執筆に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

冬佳彰

14
三人の著者による、「麻薬とは何か」をめぐる論考。歴史的な経緯、地域の特色、麻薬のカテゴリ分けまで、良くまとまった一冊。俺は本書を読むまで、麻薬にアッパー系とダウナー系なんて分割があるって知らなかった。タバコやアルコールも含んで解説されている。元々、「麻」の文化を持っていた日本に、GHQによる「社会的必要もないのに占領政策として一方的に制定された」法律ってのも何だかなー、って感じはある。狭い視界で「遵法=真面目=善」という国民性は色々な歪をもたらしているよな、麻に限らず、色んな場面で。2024/02/01

hotatehon

5
アメリカでアヘンやコカイン、マリファナが規制されていく過程がスリリングで面白かった。麻薬が社会秩序を乱すことに対する恐れはもちろんなんだけど、それ以上に喫煙習慣をアメリカに持ち込んだ移民、つまりアヘンならば中国人、コカインならばアフリカ系住民、マリファナならばメキシコ人に対する嫌悪感によって規制が進んだとこの本は書いている。「アメリカらしさ」を守るために、アメリカ建国の原動力となった有色人種の移民たちを拒絶した皮肉っぷりがスゲー。快楽よりも嫌悪感のほうが集団の行動を後押しするんだなー、と興味深かったです。2009/09/01

in medio tutissimus ibis.

4
社会学博士、作家、ライターの三人からなる、近代の日欧米の麻薬政策の概説書。麻薬とは何か、とかは序章でまとめられているし、次の章で麻薬の古代史なんかも扱ってはいるがそっちはメインじゃない。特色としては、三人の共著であるために、麻薬の客観的な評価と実体験とが併存しているところ。麻薬政策を扱ってはいるが、それは麻薬それ自体よりも、麻薬を通した移民政策や宗教活動であったり、レッドパージであったり、ニューエイジ活動であったり、必ずしも麻薬そのものが目的ではないことに注意。目的にすると単なる中毒にしかならないけども。2018/03/21

Sho

4
見事に大麻の問題を素通りしている。最後の方で公衆衛生やアメリカの取り締まり、日本の占領政策との関連で触れているのみ。歴史や使用感に関しては一切無視。アヘン・モルヒネ・ヘロイン、コカイン・クラック、LSD・MDMAについては詳しい。 筆者のスタンスは大麻は麻薬ではない、ということなのだろう。かといって、主張するわけでない。「社会問題」になっている限り大麻について何らかの主張の明示があってもよいのではないか。麻薬の定義を向精神薬一般に広げてしまうのも疑問だ。2009/07/16

米川青馬

2
読了。主に19世紀以降、世界がどのようにタバコとアルコールを含む「麻薬」を受容し、拒絶してきたかが通覧できる一冊。西欧はアヘンやタバコを万能薬として扱い、日本は眠気覚ましとして覚せい剤を国力アップに利用した。最初はあくまで薬だったのだ。中毒性や危険性がわかってから国家は手のひらを返したが、すでに「薬」は広まっていて、闇経済に潜るばかりの現状は自業自得としか言いようがない。中でオランダのハーム・リダクションや西欧の公衆衛生政策が一歩先を行く。それはそれとして、麻薬とともに生まれた文学や音楽の魅力的なこと!2011/09/25

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