内容説明
アインシュタインの相対性理論は時空概念を一変させたが、一般人にとってその理解は容易ではない。本書では平易な本文とともに、「ミニ辞典」やオリジナルなイラストを用いて多面的な解説を試みた。あわせて彼の科学、原爆、世界政治、宗教思想の全容を述べるとともに、彼の宇宙観と宮沢賢治の四次元論を対比させ、エピソードを交えながら、二十世紀を代表する両者の信条と夢を尋ねたものである。
目次
序章 一万年紀の人に聞く
第1章 アルベルト・アインシュタインの生涯
第2章 宮沢賢治の生涯―「四次元論」の人
第3章 アインシュタインの神と賢治の仏教
第4章 相対性理論以前―古典物理学の世界
第5章 特殊相対性理論―異なる慣性系では時空が変わる
第6章 一般相対性理論―曲がった時空の幾何学
第7章 わが心の銀河鉄道
著者等紹介
斎藤文一[サイトウブンイチ]
1925年岩手県北上市に生れる。東北大学理学部卒業。新潟大学名誉教授。専攻物理学。理学博士。宮沢賢治イーハトーブ館前館長。詩誌『歴程』同人
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ルアット
3
アインシュタインと宮沢賢治はとても好きな人で、この二人がいっしょになった本ということでどうしても読みたかった。読んでみると宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」よりもアインシュタインの話のほうに重きが置かれている。アインシュタインの相対性理論が生まれた背景を語るために、アインシュタインが生まれた環境、信仰した宗教、物理学の歴史を説明していき、真のアインシュタイン像に迫ろうとしている。2010/09/25
:*:♪・゜’☆…((φ(‘ー’*)
2
著者は宇宙物理学者で宮澤賢治研究家。次女はパク・ミンギュ『カステラ』の訳者だと!アインシュタインは経験に基づく直感にしたがって、宇宙から受けた啓示を数式を使って語る。作曲家が音符で思想を語るように。エネルギーと質量を本質的には同じものと考えたり(質量をもつ物体はすべて光、つまり形のあるものとないものは同質。物質的実体という概念がなくなった)発想のスケールが大きいのは、宇宙全体から物事をみているからか。宮沢賢治も同じような発想らしく、銀河鉄道の夜を再読しながらその世界観を味わいなおそうと思った。2016/10/05