内容説明
常識を遙かに超える擬似体験ゲーム機「クラインの壺」が開発された。スクリーンに映すべき映像を網膜に直接映し、聴覚嗅覚触覚、全てが現実そのままに感受される―だがそのテストモニターが消え、謎の組織が動き始めたとき…。緊迫の展開、驚異の結末、新たなミステリー世界が誕生した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ellie_Fuji
9
日本人作家では初めて読むタイプの本。程よく緊張感があって、ズイズイと物語に引き込まれてしまう。現実と作り物の世界が入り混じった果てに主人公が辿り着く結果までの経緯は、どことなくドイツのロマン主義を彷彿とさせてしまうなぁ、と。2016/04/16
o6guremi
6
図書館での借り本。井上夢人氏の本を読んで、他の方の書評でこの本の事を知り読了。新作ゲームの試作体験をしているうちに出てきた違和感が現実なのか・・・自分がいる次元が内側か外側か・・・わからないという恐怖。25年前に書かれているので、時代を感じさせるものもありましたが、面白いストーリーでした。話の結末が自分が読んだ井上氏の小説の終りと通ずるところがあるように感じた。数学者が説いた表題、「クラインの壺」それをこの本で知りました。2014/08/14
onaka
5
視聴覚だけでなく身体感覚もすべてシミュレートした超リアルな仮想世界と現実世界の区別がつかなくなるっていう、よくあるお話だが、この堂々巡りから脱出するロジックは、コントロールできるうちに逃げること。クラインの壺にしても逃走論みたいな話にしても、80年代という時代をちょっと感じたけど、物語自体はグイグイ引き込まれるテンポがあって、ほぼ一気読みでしたよ。2013/03/12
koba
3
読メのコメントに惹かれ手にした一冊。1989年発刊。25年も前に新しいゲームを予見する斬新な発想。ひょっとしたら近未来にそうした体感ゲームが開発されるかもしれない。その発想力の豊かさに感服。現実と非現実を行き来する劇中劇は冒頭から予想されたが、読者を混乱させることなくわかりやすく書き切っている。ゲームを全くしない世代にも面白く読めた作品でした。2015/12/09
北条ひかり
3
3時間46分(日本点字図書館と音訳者さんに感謝) これを読むのは3回目。僕にとって、バーチャル・リアリティといえばまずこれである。和製SFの中ではダントツに好きである。今回も、既に内容をほとんど把握しているにもかかわらず、とても楽しめた。2015/06/29
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