内容説明
満潮の海面に鮮やかに浮かぶ朱の鳥居。弥山の麓、屈曲した回廊に結ばれて低くつらなる朱の社。安芸の宮島に平家一門が総力を挙げて造営した遺宝を、岡本茂男が華麗に描出。
感想・レビュー
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chang_ume
4
厳島神社社殿について、主に屋根裏の小屋組みに焦点を当てた解説。厳島神社の社殿建築の特徴として、化粧垂木と野垂木の間の空間に「二の小屋」という、身舎と庇が明確に分離した屋根状構造を備えることを指摘。これは野小屋の発生過程で生まれた、小屋組みの一種なのだろうか。厳島神社ならではの地域色で面白い。さらに、本社拝殿の山形の小屋組み構造(三棟造)について、平清盛による仁安度修造をさかのぼる海上の遥拝所の名残りとする解釈は刺激的でした。総じて、社殿が段階的に現状に至ったとする解釈のもとに、各社殿の特徴を読み解く視点。2019/05/05