出版社内容情報
あのウサギやカエルたちの絵巻は、謎の多さでもピカ一の国宝。知られざる見どころを伝えます。全巻全場面一気見できる特別折込付き。
内容説明
老若男女から愛され続ける不滅のキャラクターと言ってもいいだろう。水遊びをしたり、相撲をとったり。賭弓や田楽に打ち興じたり。戯れるウサギやカエルたちが描かれた人気の国宝絵巻は、じつは謎の多さでもピカ一だった。甲乙丙丁、全四巻にわたる、この長大な作品に秘められた不思議を解き明かし、有名なシーンはもちろん、知られざる見どころを、隅から隅まで一冊まるごとたっぷりと紹介する。全巻全場面を一気見できる特別折り込みページ付き、永久保存版!
目次
まずは押さえておきたい“鳥獣戯画”の基礎の基礎
“鳥獣戯画”を隅から隅まで、ぜんぶ通しで見てみよう
各巻、つぶさに見てみよう ここまでわかった鳥獣戯画(甲巻 名場面が盛りだくさん。遊戯に興じる動物たち;乙巻 国産・異国産・霊界産。これが平安時代の動物図鑑;丙巻 人物戯画と動物戯画が半分半分、謎にみちた巻;丁巻 ゆるゆるタッチの戯画エクストリーム;まとめ “鳥獣戯画”はどこから来たのか)
全巻通しで一気に観る!―鳥獣戯画を10倍楽しむポイントを土屋さんに聞きました
高山寺夢紀行―明恵上人と鳥獣戯画のみてら
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
105
2009-13年に約130年振りに本格修理され、2021年東京国立博物館で特別展があった国宝・鳥獣戯画。この展示に合わせて発刊された。コロナ禍で展示は見られなかったが、この本で絵巻のように見開きで見られる工夫がされている。平安時代に描かれたとされるが、文字がなく、筆者・鑑賞者・注文主とも不明。高山寺で所蔵されていたが、明恵が後鳥羽上皇の命で再興したのが1206年で、鎌倉時代後期に仁和寺からもたらされた可能性を指摘している。甲乙丙丁巻の中で擬人化された兎、蛙、猿の甲巻が有名だが、他の巻も上手い線画で面白い。2022/04/03
アナーキー靴下
89
鳥獣戯画グッズを見るとつい買ってしまう。随分昔、上野で何か別の絵を観たとき、お土産に買ったのは鳥獣戯画ポストカードだったし、その後も鳥獣戯画手ぬぐい、鳥獣戯画ガチャガチャ、鳥獣戯画の大人のぬり絵等、出会ってしまうとつい手が伸びた。はっきりした理由はないし、詳細も知らないのに、不思議な魅力がある、そう感じる人がたくさんいるからこそグッズが次々出てくるのだろう。本書はおなじみ甲巻以外にも乙・丙・丁の全4巻、現時点での研究結果を踏まえつつ、気軽に楽しめそうな視点のヒントをくれる良書。何故か買わずに図書館本。2021/08/20
♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤
63
図書館の新刊本コーナーにあった1冊。本書は、様々な動物や人間たちがゲームやスポーツに講じ、数ある国宝の中でも親しまれ、愛されている「鳥獣戯画」の謎を、東京国立博物館主任研究員の土屋貴裕さんが解き明かす。墨の線だけで表現され色がつけられておらず、詞書もない。だから、謎に満ちているのだろう。大パノラマで全巻全場面を一気見できるのもいい。伝わった高山寺、明恵上人についての記述もある。その中の明恵上人の40年にわたる夢の記録である『夢記』も興味深い。2021/06/23
A.T
39
東京国立博物館平成館の特別展「国宝鳥獣戯画のすべて」の予習復習用に。ほぼ展示内容そのままを網羅。それもそのはず、解説者は東博の研究員さん。全体像をざっと確認できる折り込みページ付き、もちろん肝心のシーンは拡大図と説明で確認もでき、安価で持ちやすく図録を買う手間も省けます。甲乙丙丁4巻の構成ながら、必ずしも制作順ではなく、鳥獣を人間のパロディに描いた甲巻、鳥獣図鑑風の乙巻、どうやら元ネタらしい人間戯画とそれを鳥獣に変換したアイディアが沸いた丙巻、甲巻のパロディを人間に変換した丁巻…現在わかるのはそこまで。2021/06/10
まっと
38
学生時代に日本史の授業で触れた「鳥獣戯画」。当時は受験知識として身につけるにとどまっていたけれど、そうした呪縛から離れて近年の研究の成果も含めて改めて見直してみると、その奥深さ、謎めいた部分には興奮に近いものを覚える。甲巻、乙巻、丙巻、丁巻の全4巻からなる一大絵巻、全編通しての概観に触れたあとは各巻をつぶさに、という構成、まだまだ研究が続くようだがその行く末も楽しみになる。この本を片手に実物を観てみたくなった。2024/12/28