出版社内容情報
祖国への祈りに満ちた《スラヴ叙事詩》全20点を徹底的に読み解き、パリ時代の傑作と共に味わう。人気画家の真の姿に迫る決定版!時代の寵児から、魂の国民画家へ。人気画家の真の姿に迫る決定版! ベル・エポックのパリで活躍したイラストレーターは、なぜ祖国で「時代遅れの巨大歴史画」に命を懸けたのか? スラヴ民族への祈りに満ちた畢生の大作《スラヴ叙事詩》全20点を完全掲載。最新知見も加えて、気鋭の研究者がその魅力を徹底的に解き明かす。パリ時代の傑作やチェコガイドも収録した、決定版作品集。
小野 尚子[オノ ナオコ]
著・文・その他
本橋 弥生[モトハシ ヤヨイ]
著・文・その他
阿部 賢一[アベ ケンイチ]
著・文・その他
鹿島 茂[カシマ シゲル]
著・文・その他
内容説明
ベル・エポックのパリで華々しく活躍したアルフォンス・ミュシャ。しかし功成り名遂げるほどに故郷チェコへの想いを強めた彼は、50歳を前に帰郷。そこで約16年をかけて描き出したのが、スラヴ民族に捧ぐ壮大な歴史スペクタクルと呼ぶべき“スラヴ叙事詩”でした。時代に翻弄され、いまなお謎多きミュシャ芸術の到達点を、プラハでの撮り下ろし写真とともに徹底読解。パリ時代の傑作やチェコガイドも収録し、あなたの知らないミュシャの素顔に迫ります。
目次
読み解き“スラヴ叙事詩”
“スラヴ叙事詩”から見えてくるミュシャ
ムハをめぐる複数の文脈―プラハ、スラヴ、そしてフリーメイソン
傑作選 乱れ咲きのパリ時代
ミュシャが演出した“目覚めたつもりの夢”
ざっくり分かるパリのミュシャ
チェコガイド ミュシャを追いかけて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ごへいもち
29
鹿島茂本。2017年のミュシャ展で見た超大作「スラブ叙事詩」解題がメイン。郷土愛の人。でも私には やっぱり サラベルナールのポスターの方がいい。2018/05/26
旅するランナー
19
「スラブ叙事詩」を徹底分析・解説。 ミュシャの熱い想いが分かる、伝わる。 アール・ヌーヴォーなパリ時代もしっかり押さえられている。 チェコ旅行には必携であるふぉんす。2018/09/27
鯖
17
去年のミュシャ展で展示されたスラブ叙事詩の解説がメイン。この本を読んでから見たかったなあ…。当時ツイッタとかで「70越えてから国粋主義に目覚めるなんてファーww」とかいう感想も見たんだけど、日本みたいな島国と違って、大陸の真ん中の小国で様々な国から侵略され、大国の思惑に踊らされ、それでもどうにか自立を保ってきた国の人に言っていいことじゃないよなあと思ったんだよね…。現にナチの取調べの数ヶ月後に亡くなってらっしゃる訳だし。2018/06/02
とこ
14
スラブ叙事詩について知りたく、手にとった本。パッと見では見逃してしまいそうな部分も、拡大され詳しく解説してありわかりやすかったです。画面上下に人物の足や衣装がはみ出している作品が印象的。プラハの紹介を見ていたら、行ってみたくなりました。2020/12/19
遠い日
11
全20点からなる壮大な「スラヴ叙事詩」の読み解きの試みがおもしろかった。描き込まれた画面の中にある物語の重なりから、時代と歴史が浮かび上がる。華々しいパリ時代の作品はもちろん美しく目も心も捉われるが、ミュシャが自身の血のルーツに求めた望郷の念は痛々しいばかりに張り詰め、滾っている。2018/06/28