内容説明
芙美子が人生の節目に旅し、愛した場所を、彼女自身の時にわくわく、時にしみじみとした紀行文を読みながらたどる。
目次
1 門司―私は宿命的に放浪者である
2 尾道―泳いだ海、恋をした山
3 東京―ああ一人の酔いどれ女でございます
4 パリ―巴里の街は、物を食べながら歩けるのです
5 北海道―山や湖を見て暮したいと思っていました
6 北京―私は北京がほんとうに好きだ
7 屋久島―人間が住んでいる島なのかと思えるほどだった
8 落合―この近所で私を知らないものはもぐりだそうでコウエイの至りなのである
著者等紹介
角田光代[カクタミツヨ]
作家。1967年神奈川県生れ。早稲田大学第一文学部卒業。1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。1996年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、2005年『対岸の彼女』で直木賞、2006年「ロック母」で川端康成文学賞、2007年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞を受賞
橋本由起子[ハシモトユキコ]
江戸東京博物館学芸員。専門は日本近代文学。1977年東京都生れ。中央大学大学院文学研究科国文学専攻博士前期課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミエミル
24
★3.0 先日、記念館を訪れたのをきっかけに。自宅と庭がすてきだったなぁ。2017/10/22
まりこ
21
図書館より*一度こういう旅をすると、人は死ぬまで旅に取り憑かれるー角田光代。。。と自宅の間取り図に惹かれ手にとりました。亡くなるまで暮らした家は記念館として公開されているのですね。玄関からの取次の間。寝台列車を真似た使用人の二段ベッド。風の吹き抜ける家を見てみたい。2017/11/21
るんるん
13
紀行文や放浪記をもとに、出生から亡くなるまでの軌跡追うエッセイ。実母の故郷からの追放は、林芙美子さんの放浪人生の始まり。北九州の炭鉱の町での商売。多感な少女時代を過ごした尾道。東京で仕事を転々するころ浅草を歩きながら、「私は放浪のカチュウシャです」には、思わずクスッとなる。放浪記ヒット後ひとり旅したパリ。ペン部隊として訪れた北京では戦争の文壇への影響ぶりが見える。家を構えての戦中戦後。魚屋さんで安いもの買ったり近所の子と遊んだりの有名人らしくない暮らしぶり。彼女の葬儀にはご近所さんが多く詰めかけたらしい。2015/07/31
fonfon
8
私は林芙美子の熱心な読者ではないが、「浮雲」だけは繰り返し読んだ。放浪のあげく夢破れて、別れたいのに別れられない男にしがみつくようにして死んでしまう女の話など、どこがおもしろいのだ、と自問しながら離せずにきた。この本は18才の芙美子がきっと虚空を睨む横顔の写真を所有したくて買った。「ケチケチしたってしかたない。酒も飲まなきゃ男も買いはしない。」とヨーロッパ旅行中の無駄遣いを開き直っているのが好ましい。とんぼの本はたいてい物足りないが、これはよかった。私も屋久島をみてから死ぬのだ。2011/01/31
ophiuchi
8
わずか3ページ分しか書いていない角田光代の名前を出すのはずるいけど、林芙美子を読んだことがなかった私には十分楽しめる内容でした。(紀行が好きなので)2011/01/09