内容説明
没後10年、「ボッコちゃん」から50年…時を経て、なお色褐せない星作品。その膨大な数のショートショートが生まれた舞台裏を訪ね、作家の遺品が残る自宅や暮らした街、思い出の場所へ。愛娘・星マリナ、愛弟子・新井素子、江坂遊らの追想もまじえ、Mr.ショートショートの素顔に迫る。
目次
1 Mr.ショートショートの居た場所(二十歳まで住んだ本郷駒込;大好きだった別荘 箱根・強羅 ほか)
2 星流ショートショートのレシピ
3 きまぐれ装画美術館(真鍋博;和田誠)
4 エス氏のDNA(星さんの指あと(江坂遊)
同じ時代に生きた幸せ(新井素子) ほか)
星新一年譜
著者等紹介
最相葉月[サイショウハズキ]
1963年生まれ。関西学院大学法学部卒。科学技術、スポーツ、教育など幅広いテーマで執筆活動を展開。著書に『絶対音感』(小学館、小学館ノンフィクション大賞)、『星新一 一〇〇一話をつくった人』(新潮社、講談社ノンフィクション賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
132
星新一さん関連の本で未読だったこの本を探し当てて読んでみました。最相さんが監修しているだけあって星さんのムックのような感じです。原稿やバーのコースターの話、娘さんのエッセイなどがあり作品だけでは感じられない面を知ることができました。2017/08/01
tengen
38
小学生のころ塾の帰りに生まれて初めて自分の小遣いで買った文庫本が「ノックの音」でした。 2007年、その星新一没後10年に刊行された追悼本のような一冊。 星新一の住まいや土地環境、執筆場、家族のエピソードなどが綴られている。 娘さんの書かれるエピソードが星新一氏の人柄を垣間見せてくれる。 真鍋博と和田誠の装画も少し掲載。 私なぞ星新一作品と言えば真鍋博のイラストなしでは語れない。 大阪万博の真鍋博イラストー星新一作品ー未来、全てが繋がって輝いてました。2021/04/22
へくとぱすかる
32
簡単に書かれたように見えるショートショートが、実はおそろしい苦闘の末に生まれてきたことが創作メモの写真からわかる。これにはハッとさせられる。未来的な創作を生んだ環境が、割と日本的であることは意外。もちろん幼少時の恵まれた生活がそこに投影されていることは十分に理解できるが、作家として、感覚を磨く努力の結果なのだろう。ビジュアルな本なので、まるで書斎におじゃましているように距離が縮まる気分になれた。2014/01/19
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
31
星新一さんの足跡を写真と関係者の言葉でまとめた本。最相葉月さんの『一〇〇一話をつくった人』は、ミステリアスな部分が多かった星さんの人間像に迫った力作でしたが、この本では終の住処となった自宅の書斎や創作メモなどがカラー写真で紹介されていて興味深く読む事ができました。日本のSFの黎明期、同人誌に寄せた作品が江戸川乱歩氏に見い出され、製薬会社の経営者から作家に転身するという激しさの一端を、便箋の裏紙にびっしり書かれた下書きから窺い知る事ができます。江坂遊さんが喝破した創作奥義【要素分解共鳴結合】は面白かった。2014/04/29
これでいいのだ@ヘタレ女王
20
そうか、、、ボッコちゃんから56年も経過しているんですね。多分文庫本を読むきっかけになった作家さん。近未来の生活を中心にショートショートにまとめるパイオニア。どのような環境でどうやって作品が生まれたのか知ることができました。2013/12/03