内容説明
桜の着物の似合うひと。いっぱい恋をしたひと。とっても長生きをしたひと…。宇野千代は明治三十(一八九七)年、山口県の岩国生まれ。名作『おはん』を生んだ作家として、モダンな着物のデザイナーとして、九十八年の生涯を夢中で駆け抜けた。その波瀾の道のりから、暮らし、食卓、ファッション、宝物、本の装いまで、“人生に恋した女”のすべてを紹介。美しく、凛々しく、幸せに生きていくことを、いま私たちに教えてくれる。
目次
1 幸せを呼ぶ、千代流暮らしのスタイル
2 心をかけた自慢の料理
3 創る喜び、着る楽しみ きもの図鑑
4 日本初のファッション雑誌「スタイル」創刊
5 いつだって幸せ、夢中の人生
6 これが私の「家宝」です
7 本の装い
著者等紹介
宇野千代[ウノチヨ]
1897年、山口県生まれ。作家。日本初のファッション雑誌「スタイル」の発行や、きもののデザインでも活躍した。処女作は1923年『脂粉の顔』。1996年、九十八歳で永眠
小林庸浩[コバヤシツネヒロ]
1943年、東京生まれ。写真家。大判のカメラで、染織、やきもの等の工芸や茶の湯、料理、骨董の世界を中心に撮り続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヒロミ
31
元祖・おしゃれ番長の女流作家宇野千代。花の命は短くなくて、明治・大正・昭和・平成を駆け抜け98歳の天寿をまっとうした恋多き美しき人だ。宇野千代さんは着物デザイナーとしても有名でこのムックではデザイナーとしての千代さんも堪能することができる。梶井基次郎と噂になったとき「私が面食いなの知っているでしょう」と一笑に付したエピソードを何処かで読んだが、そりゃ梶井さんも檸檬を爆発させたくなるわけである。安吾や太宰とも同時代人だった千代さんだが(安吾は千代さんファン)改めてその作品を読み返してみたい。女は強し!2015/07/07
ぐっちー
22
桜の季節に淡墨桜の話題をテレビで見た。宇野千代さんの話にも触れていたので、手にした。客間や仕事場の写真にじーっと見入った。シンプルでとても趣味の良い部屋。この人の生き方が、着物や調度によく表れている。「おしゃれは文明人の義務」という言葉には恐れ入った。おしゃれ(金をかけるという意ではない)は、自分の内面と向き合うことと、外部の人に気を使うこと両方ができる、人としてとても大切なことなんだと思った。2017/04/16
きたぴー
21
宇野千代さん。養老孟司さんと寂聴さんの対談を読み興味が湧いた。着物姿の元気なおばあちゃんの写真は、なんとなく見覚えがあるが、ほぼ存じ上げませんでした。表紙の写真に惹かれ本書を手に取ったが、いや~凄い、圧倒されました。バイタリティーの塊、そして本当に多才。こんな素敵で面白そうな女性の存在を知れたのは嬉しい。至るところから彼女のセンスが溢れ出ているが、様々な桜をあしらった着物が素敵。紺地に白い桜の花びらの浴衣も好き。人生はド派手でも、着物は色調をシンプルにすっきりというのがさすが。彼女が書いた作品も読みたい。2025/03/12
re;
13
女の原動力は多彩だ。感動し、震える心。その振動が大きければ大きいほど、きっと高く羽ばたける。自分の信じるものを信じぬき、誰にも文句は言わせない。その代わり、自分のどんな境遇にも文句を言わない。寡黙に、おしゃべりに、ストイックに、散漫に。女だからこその矛盾に満ちた生き方って、なんだかやっぱりかっこいい。『私は私よ』その生き方からそんな声が聞こえてくる。たった一度の人生だから、好きなものをとことん愛して、たとえ形は失っても胸に宿して。いつも心に熱を灯すように生きていけたら素敵。2018/01/09
kaoriction@本読み&感想 復活の途上
13
「My Dear」と周りの人に言わしめた宇野千代の魅力と哲学が満載。「泥棒と人殺しのほかは何でもした」と言うが、心根は豊かで優しい人なのだろうと感じる。去る恋人に「よよと泣かない」。「いらないからあげる、なんて失礼だ、それなら捨てた方がマシ 自分が惜しくてたまらにいものをあげなさい」「毎日、座っている中に、何か書ける」等、人生を愉しく粋に生きてゆく哲学。晩年まで週に一度の美容院通いをしたというヘアスタイル変遷や、千代デザインの着物、特装本や手紙、調度品、レシピなど何時間でも眺めて読んでいられる一冊だった。2013/01/17