内容説明
美術における20世紀とは、何だったのでしょうか?ゴッホ、モネ、ルノワール、セザンヌなど19世紀から20世紀初頭にかけて活躍した画家たちの人気はあいかわらず高い。次世代のピカソの展覧会もしばしば開催されます。しかし、ピカソはよくわからないという声は少なくありません。まして現代美術は難解なだけで、つまらないとふりむきもされません。でも実は、これらの絵画世界はつながりをもっているのです。本書では静物画というテーマをとりあげて、セザンヌから現代美術まで、モダンアートをやさしくきわめていくことができるようにしました。
目次
序章 静物から騒物へ
第1章 静物の解体
第2章 オブジェの主張
第3章 都市と物体
第4章 商品と芸術
第5章 静物としての文字
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
春ドーナツ
10
池澤夏樹さんの小説のタイトルでもある「スティル・ライフ」を俯瞰的に網羅した本です。ピカソの描く人間がどうしても好きになれなくて敬遠していたのですが、こと「静物画」となるとなかなか良いのですよね、という発見ができて嬉しかったです。セザンヌの風景画には、あまり魅力を感じないけれど、林檎シリーズはやっぱり素晴らしい。ジョゼフ・コーネルさんは20世紀に登場した様々な芸術運動とは殆どコミットしていなくて独自の道を歩んだ為、本書では作品が一点しか紹介されておらず、寂しかったです(ファン心理)。2017/05/07