内容説明
著者は少年時代に一本のナイフを持っていた。それは小さなものだったが常にズボンの中に入れてあり、ポケットに突っ込んだ手で握りしめていることが多かった。握りしめていると不思議に気持ちが落ち着いたのだ。著者にとってそのナイフは、揺れ動く自分の精神の安定を保つための錘りのようなものだったのかもしれない。しかし、なぜ少年にそうした錘りが必要だったのか。その記憶を辿るところから、この小説は書きはじめられた。中学三年の冬、私は人を殺した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mike
73
ポケットにナイフを隠し持っていた中学生の私は人を殺してしまう。しかしその理由は自分でも分からない…自分でも何がしたいのかどう生きたいのかが分からず、何かに対してイライラしている14歳。ヒリヒリするような内面を簡潔に淡々と表す沢木さんの文章が好きだ。ただ最後の父親との場面は私の理解が及ばずモヤモヤが残った。彼が父親について書いた「無名」を読めば少しは明瞭になるのかもしれない。2023/10/05
松下左京
31
中学生時代に殺人を犯した会計士の男が当時を回想するストーリー。 いわゆる手記のようなものではなく登場人物の心情変化などが中心に描かれている純文学。 なかなか興味深い本だった!2019/01/13
陽
28
人をナイフで刺し殺す。その動機がリアルのようで曖昧で未成年の心情の行いなのか?しかも父親を殺すって、その理由も曖昧で。だた何となく気持ちが解るような。2020/02/25
ひねもすのたり
19
とりあえず買ったけど、やっぱ沢木耕太郎はノンフィクションとエッセイだよな・・と思いつつ十年以上放置していた本が発掘されたので読んでみました。 中三で殺人を犯した男が過去を振り返るという形式で描かれる本作は独特の語り口で冒頭からイッキに引き込まれます。作中の言を拝借するなら時限爆弾のスイッチがいつ入っていつ爆発するのか?その緊張感と克明に語られる主人公の心理。それらが相俟ってすげぇ小説を読んだ気分になりました。オカマの元ボクサーも沢木さんらしいチョイス。大人の在り方を考えさせられる作品でもあります。★4.52016/11/17
たち屋たちや
14
血の味は、何も口のなかで鉄を含んだという単調なリズムのことでは片付けられらない。 私の手についた血は、見ていて、匂いがして、 ざらつくという触感、全てから、血の味がしたと 覚えている。 感じるというよりは、そう思ったというのが近いと思う。
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