内容説明
釈迦と孔子の思想の本質、分布、歴史、聖地、儀式、タブー…果てはセックス観まで、両者を徹底的に比較検討。日本人の思考、倫理、道徳の核を形成した二つの東洋の叡智を鋭く追究する。猛烈に働いてきた日本人。その生き方をみつめ直す絶好の一冊。
目次
第1部 二つの教えの基本的性格
第2部 世界の中の東洋思想
第3部 仏教の「慈悲」、儒教の「仁」
第4部 「四書五経」対「般若心経」
第5部 二つの宇宙論、二つの世界観
第6部 教育勅語から演歌まで
第7部 仏教と儒教のハードとソフト
第8部 良い欲望、悪い欲望
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nizimasu
5
日本人にとって至極当然なことが実は外来のものであるというのが、最近、宗教の歴史を知れば知るほどわかってくる。仏教も儒教もどうも日本にあまり大きな違いがない時期に持ち込まれて変容していたことがわかる本。仏教は鎮護国家に利用され、儒教は江戸時代に制度化されていき葬式が仏教に持ち込まれたりあらゆる宗教の習合ぶりに驚かされるばかり。最も難しいのはそもそも儒教って宗教ということ。かと思えば、仏教の成立から考えるに反体制的な側面と国家との軋轢はこれまた奥の深いテーマ。さらりとしたひろさんの筆致ながら考えること多しです2014/09/17
paumi
4
儒教も仏教も共通して言えることは、日本ではその教えが歪められて伝わっていること。本書の中で何度も著者が嘆いていた。初心者にもわかりやすいQ&A形式で、入門にお薦め。個人的に仏教の出世間の教えに興味を持った。2017/11/14
なめこ
1
非常にわかりやすい。仏教ってそもそも何? と思って手に取ったので、目的は果たせました。ただ「日本人は〜しがちだ」「日本人が思う〇〇は本当は〜〜だ」というような記述に共感できないものが多く、残念。年齢のせいなのか時代のせいなのか。著者は1936年生まれ、発行は1999年。2014/10/24
ごみくず
0
通読1★5.ひろさちや氏の入門本。今となっては日本に馴染み薄いが、江戸時代は特に日本の階級社会に於いて必須の道徳教育であり、今も社会の根底に影響を与える儒教について、仏教と対比しながら理解を深める。渋沢栄一著「論語と算盤」にもあった金儲けについての孔子の発言も引用されており、主に儒教について肯定的に捉えられる内容は為になる2001/08/27
せり鍋
0
話口調なので教授の話を聞いているみたいで読みやすい。引用が多く分かりやすい。日本の神道や中国の道教なども入ってくるので宗教の全体像も推考しながら読むのに適していると思う。随所随所、現代社会を嘆く言葉が入るが、そこもより出版の多い(主張したがり?)教授の特徴らしく感じ、なおさら大学の講義らしく懐かしく思った。読む方としたら、事実と教授の主張を分けて読み進めれば問題ないかと思う。2019/08/31