内容説明
西欧の“ゴッド”を我々は“神”と訳してきた。けれども両者の意味は桁違いにズレていた。我々は科学の移入に忙しく、そのことにはほとんど意を注がず今日まで来た。だがその差は、実に人間観・社会観から美感、文化、風俗までにわたって、東西の驚くべきギャップの源となっている。またそれはわが国の教会を痩せ衰えさせ、あるいは国家を国際社会の孤児にもしつつある。本書でその実状を示した。
目次
「神」と「ゴッド」は大違い
聖書の出発点は複眼的存在観
東西「神」概念を対照すると
「アイデンティティ」の意味が日本人にわかりにくいわけ
西洋の造形美術にはなぜ「わび」「さび」がないのか
米国のCIデザインはなぜ高価か
江川・元木はなぜ巨人に執着したか
「聖智」が明かす三島事件の構造
有・アイデンティティ願望の生成と展開
キリスト教は「西洋の宗教」か〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
margarita
4
キリスト教に無縁な日本人にも分かり易くキリスト教を解説しようと試みているのだが、後半の数章は贔屓の引き倒しが過ぎて違和感を禁じ得なかった。 しかし、三島の自決事件をモチーフに日本人の世界観を語る中盤の展開はなかなか読み応えがあり面白かった。浅学にして、三島の檄文の全文を本書で初めて読んだ。2017/02/25
ぺんきち
3
時々謎の当時の時事ネタ。それを除いてもこの著者が言ってることはもっともだと思う。隣人愛を説いているのに同じクリスチャン・教会同士でいさかいを起こしている。偽善で冷え切っている。教会は儒教の匂いで満ちている。創造主を信じることよりも儀式の方にばかり目が行く。上に立つ人間は「偉くなりたい者は仕える人間になりなさい」ということをなぜか説こうとしないし実践もしない。神は学問も安産も交通安全も当然の如く包有している。イエスを信じても変わらないし現世利益は全くないなんてうそっぱち。真なる神を信じることは変化を伴う。2022/08/19
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