内容説明
全国の森を歩きながら、その歴史と自然、経済と思想を考える旅―知床の原生林、白神山地のブナ林、木曽や吉野。日本人にとって「森」とは何かを問いかける一冊。
目次
第1章 森の営み・人の営み
第2章 暮らしの森から経済の森へ
第3章 森の文化・木の文化
第4章 森に生きた人々
第5章 森の時間・歴史の時間
第6章 森の歴史と川の歴史
第7章 日本近代史のなかの森
第8章 森と人との調和をめざして
第9章 山里からの思想
第10章 森にかよう道を歩きながら
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takao
3
☆日本の森から神々はいなくなった2024/01/08
シフ子
2
先日気仙沼で牡蠣の養殖をする方が国連で表彰された。曰く「津波の後全ての生き物が消えたがその後より豊かな海になった。森が海を育む」。そして古来から「鎮守の森」が防波堤の役割をするとして活動を続ける方が TVに映る。「森」と聞いて本書を再読。森は循環する時間の中に生き永遠に続く。一方人間は直線的な時間に生き老いて死ぬという。日曜だけ農夫となり 自然の中に暮らすようになった著者は 森の豊かさに気づき 全国を歩くようになる。国土の6割以上が山の日本で 川は森によって浄化されていると説く。2012/02/27
ケンチャン
1
現在、安価な輸入材により厳しい情勢に立たされている日本の林業の現状を実地で観察し、今後の林業のあり方、森との付き合い方について考察した本。長期的展望に立って運営しなければならぬ林業が、短期間に森が示す表情の変化によって、正しい方向に進んでいるかどうかがわかるという記述に、日常森とかかわる人ならではの眼力の鋭さを感じた。若く新しい試みをしている林業家に期待する。2011/08/26