内容説明
三大宗教の聖地にして民族の坩堝―。東西に分裂したまま危うい均衡を保つ町・エルサレム。四千年にわたる歴史をふまえつつ、中東の交差点を根底から解明。
目次
第1章 神殿都市エルサレム
第2章 三宗教の聖地として
第3章 アラブ・イスラエル紛争へ
第4章 第三次中東戦争後のエルサレム
第5章 パレスチナ人のエルサレム
第6章 現代キリスト教とエルサレム
第7章 多様なユダヤ人社会
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やっさん
7
20余年前の本だが知らないこといっぱいで参考になった。イスラム教ではダビデ、キリストは先の預言者で崇拝の対象とは。キリスト教徒同士でも宗派で聖所の所有権争いしていたり、イスラエルの終焉を願い、PLOを支持するユダヤ人グループがいたりとエルサレムってものすごい複雑なところなんだなぁ。十字軍時代のキリスト教の他宗教への非寛容ぶりもすごい。本来のイスラム教は包容力のある宗教であることも再認識。面白かったしためになった。2015/12/27
中島直人
3
世界で最も有名な都市の物語。あまりに複雑で理解が難しいエルサレムを巡る政治状況を少しだけ理解出来た気がする。政治、民族、宗教といった20世紀のキーファクターを超越し、21世紀のあるべき姿を模索する上で象徴的な場所と考えれば、今後も目が離せない。2013/10/16
さな
2
放送大学「国際理解のために」の印刷教材で参考文献に取り上げられていた本。著者は中東政治を専門にする国際政治学者で、エルサレムにも何度も足を運んでいる。特に前半は、エルサレムという都市を著者の目で案内していて魅力的な街であることが伝わる。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の3つの聖地であるこの都市は、日本からは想像できないほどに宗教が共存そして対立している。さらにヨーロッパで起こった民族主義が絡んでさらに複雑化している。それにしても、紀元前6世紀のバビロン捕囚によるディアスポラがここまで尾を引いているとは。2025/04/28
さとう
1
装丁が変る前の版だから、今の版で書かれている近況は知らない。それでも三大宗教がうずまく旧市街地の様子は興味深かった。もちろん同じ宗教であるはずのキリスト教諸派が足を引っ張り合う話なども興味深かった
HOSONO_Junya
1
イスラエルとパレスチナの「首都」であるエルサレム。三大宗教の聖地が集中し、それゆえに繰り返されてきた被征服の歴史を追う。93年の本だが、エルサレムを軸にしてパレスチナ・イスラエル問題を概観することができる。エピローグで中東和平の可能性をなんとか見出そうとしていることに好感がもてる。2010/10/28