感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
29
アイヌ民族の英才で、アイヌ語の研究者として知られる知里真志保の評伝。北大教授に迎えられながらも体制側に転向せず、他方で反体制派として民族的アイデンティティを確立する方向へも進まなかった。評伝からは時に感情的にキレやすく、武闘派だった一面が見える。被差別民族でありながら、エリートとして出世したことが、葛藤と矛盾を内心に抱えこむことになったのだろうか。52歳で逝去した彼の墓が藻岩山の中腹の霊園にあるとは知らなかった。札幌の古本屋「並樹書店」にて購入。2022/03/06
白菊
0
同著者の銀の滴降る降るまわりにの読了後に読みました。お姉さんの方は心の動きなどが静かな印象でしたが、こちらの知里真志保さんは色々な葛藤がとても伝わり、躍動的な印象のとても印象深い本でした。自身の中のアイデンティティと客観的に見ることができる明晰さが故に常に深い葛藤を抱えて生き続けたのだととても鮮烈な印象です。定期的に読み返したいと思わせる本です。2024/05/02