出版社内容情報
自分自身をべつの言葉に置き換え、変化を恐れずに生きてきた――。ベンガル人の両親のもとロンドンで生まれ、アメリカで育った著者は、幼い頃から自らや家族のことを、頭のなかで常にベンガル語から英語に「翻訳」してきた。大人になってから習得したイタリア語に見出した救い、母の看取りなど、自身の半生をひもときながら綴られる、小説を書くことを鼓舞してくれる「翻訳」について考えたこと。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
34
母語とは別の言語と向き合って、その言語と共に生きること。ラヒリが如何にイタリア語に対して真摯な思いを抱き、文学を紡ぎ続けているかが伝わる良きエッセイ集であった。スタルノーネの『靴ひも』は日本語にも翻訳されているし、非常にユニークで面白い作品なので、この本を読んだ人には是非ともお勧めしたい。2025/04/25
19番ホール
1
ベンガル語→英語→イタリア語、と言語を渡り歩いてきた作家のエッセイ集。めちゃくちゃよかった。言葉を置き換える= 変身させる意義と可能性を伝え、また作家自身がそれに苦しむ様子が生々しく綴られる。自作を他言語へ、著者が翻訳する難しさ、のくだりは想像したこともない話で興味深かった。"翻訳論"もロマンチックに語ろうとはせず、実務に紐づけた対応として考えを深めていく。それでいて言葉が喚起するイメージには敏感で、言葉選びのセンスが相変わらずカッコいい。さすが。2025/05/05
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