出版社内容情報
17歳の少女レニーと83歳のマーゴ。終末期病棟で出会った2人が100年の人生を絵に描く。デビュー作にして映画化の感動物語!
内容説明
英国グラスゴーの病院で終末期医療を受ける少女レニーは17歳。好奇心旺盛で老人向けのアートセラピーに潜り込み、83歳のマーゴと知り合う。ふたりは自分たちが生きた証として、合わせて100年の人生を100枚の絵にして残すという計画を立て、1枚の絵を描くごとに、絵にまつわる人生の1コマを相手に語ってゆく―。生と死と愛という、人間にとって根源的な重いテーマを正面から取り上げながら、明るく風変わりなふたりの愛すべきヒロインと、個性ゆたかな登場人物が織りなすデビュー作。
著者等紹介
クローニン,マリアンヌ[クローニン,マリアンヌ] [Cronin,Marianne]
1990年、イギリスのウォリックシャー生まれ。ランカスター大学で英語学と創作を学んだ後、バーミンガム大学で応用言語学の博士号を取得。現在はウェスト・ミッドランズに住み、ほとんどの時間を執筆に費やしながら、時おり即興演劇に出演している。デビュー作の『レニーとマーゴで100歳』は20か国語以上に翻訳され、ハリウッドの大手スタジオで長編映画化される
村松潔[ムラマツキヨシ]
1946年、東京生まれ。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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どんぐり
82
二人の出会いはレニー17歳、マーゴ83歳。場所はグラスゴー・プリンセス・ロイヤル病院にある患者のためのアートルーム。ここで二人は17プラス83の百年分の百枚の絵を描くことを計画する。これまでに二人には何があったのか、1枚の絵を描くごとに物語る人生のエピソード。終末期の限りのある時間のなかで、友情を育みながら終幕へと向かっていく二人。〈レニーの最後のページ〉には、「ターミナルと言われると、わたしは空港を思い浮かべる。わたしはすでにチェックインした」と記される。旅立っていく二人に遺された百枚の絵。2024/02/14
ケロリーヌ@ベルばら同盟
81
それは、一生に一度しかない天文現象。レニー17歳、マーゴ83歳。ターミナルで出会った二人。生まれた時代も、育った環境も違うけれど、今は同じ星空を仰ぎみる二人。ふたりで100歳。3京kmも彼方から届けられる星明かり、一際光る星は、もう死んでいるかもしれない。けれど、彼女たちには"今"その星が見えている。"今"生きている。共鳴する魂の軌跡。病院内の礼拝堂で訪れる人を待つアーサー神父、病棟の新人看護師、アート・セラピーに取り組む臨時雇い、彼らの胸に、読者の心に、美しく静かで濃密な二つの星の100年の奇跡が響く。2022/05/18
はる
72
病院で終末期医療を受ける17歳のレニーは、83歳の女性マーゴに出会う。ふたりは自分たちが生きた証として、合わせて100年の人生を100枚の絵に残すことに……。語るうちに、一見普通のおばあさんに見えるマーゴが波乱の人生を歩んできており、そしてクールに見えるレニーも、実はとても繊細で思いやりのある少女であることが分かっていく…。終盤はきっと辛くなるのでは、と思ったが、そうではなかった。不思議と穏やかで温かな雰囲気に包まれていく物語。読み終えて、ふたりの人生の追体験を終えたとき、静かに涙が流れた。2022/03/28
ヘラジカ
69
名作揃いのクレスト・ブックスのなかで最近では最も粗筋に惹かれなかったにも拘らず、読み終えたときには不覚にも目頭が熱くなりため息が漏れてしまった。悲劇ばかりの二人の人生で際立つ優しさと温もり。容赦のない痛みや悲しみの中にさえも前向きな光を見つけられることを教えてくれる。レニーとマーゴの関係性だけではなくアーサー神父やハンフリーとの友情と愛情にも心打たれた。困難な道のりに立ち向かう勇気をもらえる一冊。ベタと言えばベタだし小説として問題点がないとは決して言えないけれど、心の琴線に触れる作品だった。2022/02/08
NAO
64
グラスゴーの病院で終末期医療を受けている17歳の少女レニーと83歳のマーゴの触れあいを描いた物語。レニーは、残り少ない日々に無駄などあってはならないと思ってでもいるように、動きまわっている。そんなレニーをたしなめるでもなく、憐れむでもなく静かな笑みを浮かべて見ていてくれるマーゴは、レニーにとって心安らぐ相手だったのだろう。いつも死を間近に感じている少女の心に寄り添える者などそういない。たくさんの経験をして、辛い思いを何度もしてきたマーゴだからこそ、レニーは頑なな心を開くことができたのだろう。2023/02/23
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