Crest books
ソーラー

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  • サイズ B6判/ページ数 361p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105900915
  • NDC分類 933
  • Cコード C0397

出版社内容情報

太陽光エネルギーでひと儲けを企む、狡猾で好色なノーベル賞科学者。懲りない彼の人生にもやがて暗雲が。ブッカー賞作家が現代社会を笑いのめす最新長篇。

内容説明

マイケル・ビアードは、狡猾で好色なノーベル賞受賞科学者。受賞後は新しい研究に取り組むでもなく、研究所の名誉職を務めたり、金の集まりそうな催しで講演をしたりの日々。五番目の妻に別れを告げられた後は、同僚の発明した新しい太陽光発電のアイディアを横取りしてひと儲を狙っている。そんな彼を取り巻く、優しくも打算的な女たち。残酷で移り気なマスメディア。欺瞞に満ちた科学界とエネルギー業界―。一人の男の人生の悲哀とともに、現代社会の矛盾と滑稽さを容赦なく描き切る、イギリスの名匠による痛快でやがて悲しい最新長篇。

著者等紹介

マキューアン,イアン[マキューアン,イアン][McEwan,Ian]
1948年、英国ハンプシャー生まれ。シンガポール、トリポリなどで少年時代を過ごす。イースト・アングリア大学創作科で修士号を取得後、’76年に第一短篇集でサマセット・モーム賞を受賞。『愛の続き』(’97)がブッカー賞最終候補となり、翌年『アムステルダム』で同賞受賞。『贖罪』(2001)は全米批評家協会賞など多数の賞を受賞、世界的ベストセラーとなった。2011年、エルサレム賞受賞。オクスフォード在住

村松潔[ムラマツキヨシ]
1946年、東京生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

150
ノーベル物理学賞者ビアードの懲りない日々を描いた作品である。この「暗い喜劇」に登場する誰にも共感できないのが 面白い。 チビ、ハゲ、デブのビアードの奮闘は、 背後に エネルギー問題を絡ませながら 突き進んでいくが…ひどくアイロニカルな描写の行き着く先は どこになるのか? 正直 英国的風刺についていけなかったが、 狡猾で好色な物理学者の姿と その取り巻きたちが 現代の英国なのかもしれない。2020/10/21

どんぐり

86
40年前にノーベル物理学賞を受賞し、クリーン・エネルギーを開発している科学者のビアード。酒飲みで好色、背は低く頭頂部が禿げあがり、腹がでっぷりと突き出て見てくれは悪いが、いつも周りに女がいる。自分で浮気をしておきながら、妻が男に奔ると嫉妬し、相手を刑務所送りにして、5度目の離婚。これまでDNAを残すこともなくきたが、60になって突然関係を持った女から妊娠を告げられる。食欲、性欲にまみれた俗物であり、科学者が身にまとうべき高潔さは微塵もない。地球温暖化の北極圏視察に行き、そこで北極熊に襲われたり、ブリザ 2017/04/26

めしいらず

57
主人公が犯した罪は一体何だったのか。誰の目にもダメ人間として映る彼。自堕落、強い自己愛、そして誰をも愛さない。でもこれらは誰でも少なからず持っているもの。唯一罪のように見えるアイデアの剽窃だって、彼が形にしなければ誰一人見向きもせず埋もれていたもの。それよりノーベル賞科学者という彼の威光にたかり、食い物にし、それが翳れば巻き添えを避け保身に走る人々や社会の歪んだありようがより罪深い。悪運強く渡って来た主人公にも、最後に貯まったツケが一度に回ってくる。最後の最後、全てを失なって初めて愛するものに気付く皮肉。2014/06/14

kishikan

42
ずっと、気になって読むのを楽しみにしていたのに、年をまたいでの読了になってしまった。話としては、ノーベル賞をとった学者さんが主人公ということで、僕の好きな物理や科学要素がたっぷりだったし、ドタバタコメディ、風刺も辛口、下半身の話も加わり、最後はブラックと悲哀でっと、まぁまぁ盛りだくさんなお話。本当はとっても面白いのでしょうが、訳された日本語の悲哀か・・・その面白さが文章の読み難さで半減!ここは、原文に忠実にというより、スピード感を大事にしたり前後の文脈を壊さないような意訳で良いのでは?と思うのでした。2015/01/07

マリカ

36
ビアードはちび・でぶ・ハゲで、人間的にもサイテー男ですが、ちょこちょこマキューアンが彼をお仕置きして(?)、マヌケな一面を曝け出してくれるので、同情してなんだか憎めなくなってしまいました。それに、彼の自身の欲求に対して素直に従う様は、呆れを越えて、羨ましくさえ思ってしまいます。いつもながらマキューアンの緻密な描写にはまいりました。ここぞという瞬間の描写はディテールに凝っていて、まるでスローモーションの映像を見ているようです。最後の場面でビアードの心に灯った小さな光が、永遠に消えてしまわないことを願って。2012/02/03

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