Crest books
無限

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  • サイズ B6判/ページ数 331p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105900878
  • NDC分類 933
  • Cコード C0397

内容説明

ある真夏の一日、アイルランドの片田舎に建つ屋敷。生死の境をさまよう老数学者アダムを、家族たちが取り囲む。若き妻アーシュラ、父と同じ名を持つ息子アダム、傷つきやすく閉じこもりがちな妹ピートラ、息子アダムの妻で女優のヘレン。そして、それを密かに見守る、いたずら好きの「神」たち。神々は気まぐれに人間に入り込んでは美人を追いかけまわし、時間を止めてしまったりもする。不完全な、限りある命の人間たちを淡々と観察しながら、ときに「神」は、愛することや死ぬことに憧れを抱く―。慈愛と思索とユーモアが響き合う傑作長篇。

著者等紹介

バンヴィル,ジョン[バンヴィル,ジョン][Banville,John]
1945年、アイルランド・ウェクスフォード生まれ。12歳より小説を書き始める。1970年、短篇集Long Lankinでデビュー。アイルランド紙で文芸記者として働きながら執筆を続け、『コペルニクス博士』(’76)でジェイムズ・テイト・ブラック記念賞、『ケプラーの憂鬱』(’81)でガーディアン賞、『海に帰る日』(2005)でブッカー賞受賞。ほか受賞多数。現代アイルランドを代表する作家であり、The New York Review of Booksなどで批評家としても活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

rinakko

6
この物語は、神ヘルメスの視点で語られる。そうそうそう言えば、ヘルメスが父ゼウスをエロ親父呼ばわりしてたり…(いきなりそこか)。つまりこのヘルメスとゼウス、ただ見ているだけでもないのだった…。死の床についている一人の男と、彼の元にわらわらと集まった家族や知人たち。何か世間からずれている、風変わりな人々。そんな彼らの揺れる胸の内が事細かに語られる段落と、それを眺めるヘルメスの人間の死や愛情への憧憬を吐露するような段落が不思議な螺旋となり、最後には静かな場所へと運ばれていく。そんな、愛おしい物語だった。2011/01/14

garth

6
「夏のある日、突風がいきなり木々の梢を切り裂き、なんの前触れもなしに小糠雨が降りだして、彩色された聖人像に恩寵のように降りかかるとき、それはわれわれのひとりがそこを通りすぎたのである。地面が歪んで大口をあけ、街々をまるごと呑みこんだり、海面が盛り上がって、椰子の木や藁葺きの小屋や泣きわめく無数の原住民ごと、列島全体が呑みこまれたときには、われわれのひとりがひどく苛立っていると思って間違いないだろう」ていうかこれSFじゃないか!SFファンはみんな読むべき。2010/11/15

りつこ

5
読みづらかった~。とは言ってもつまらなかったというわけではなく。面白くてページをめくる手がとまらない!というよりは、何ページか読んでしばらくぼ~っと余韻に浸りたい。そんな感じの小説だった。うつろな人間と欲望が一見シンプルな神様の対比が面白い。なんとなく最後神様の手できれいにまとめられた感じがじんわり良かった。2011/06/13

きうりっち

3
重苦しい話かと思ったら軽妙なというくらい楽しい読み物だった。あとがきによれば、これはある一日の出来事にすぎないらしいが、それぞれの人々の過去の出来事などに飛んでいくので広がりがある。登場人物は皆それぞれを主人公にしてもいいくらいの何かを持っていて魅力にあふれている。ことにリストカットする娘など非常に気にかかる。あちこちユーモアにあふれていて、読み終えるのが惜しい気になった。 これからしばらくバンヴィルを読み続けたい。2013/10/22

更新停止中

3
父親の危篤で集まった問題を抱えた家族、といういかにもクレストブックスで翻訳されそうな題材にいきなりギリシャ神話の神々と近未来SF的な設定をねじ込む力技。「何だこれ」と思ったのが途中「何だ」かが見えて来た気がして、でもこれは「そういう話」にしちゃわず「何だこれ」なまま進んで欲しいな、と思ったらうやむやにすべき所はうやむやに、かつ爽快なラスト。力技でうやむやはギリシャ劇の様式美です、とにやりと笑われたら何も言えない。全体に一貫して流れる何かに見守られている感触の美しさ。何が好きなのかよく解らないけど好きだ。2011/07/16

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