Crest books
密会

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 278p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105900656
  • NDC分類 933
  • Cコード C0397

内容説明

早朝のオフィスで、カフェの定席で、離婚した彼女の部屋で、寸暇の密会を重ねる中年男女の愛の逡巡…表題作。孤独な未亡人と、文学作品を通じて心を通わせた図書館員。ある日法外な財産を彼女が自分に遺したことを知って…「グレイリスの遺産」。過って母親の浮気相手を殺してしまった幼い自分のために、全てを捨てて親娘三人の放浪生活を選んだ両親との日々…「孤独」。アイルランドとイギリスを舞台に、執着し、苦悩し、諦め、立て直していく男たち女たち。現役の英語圏最高の短篇作家と称される、W.トレヴァーが、静かなまなざしで人生の苦さ、深みを描いた12篇。

著者等紹介

トレヴァー,ウィリアム[トレヴァー,ウィリアム][Trevor,William]
1928年、アイルランドのコーク州生まれ。少数派である、プロテスタントのイングランド系アイルランド人(アングロアイリッシュ)に属する。トリニティ・カレッジ・ダブリンを卒業後、教師、彫刻家、コピーライターなどを経て、60年代より本格的な作家活動に入る。65年、第二作「同窓」がホーソンデン賞を受賞、以後すぐれた長篇、短篇を次々に発表し、数多くの賞を受賞している(ホイットブレッド賞は3回)。短篇の評価はきわめて高く、初期からの短篇集7冊を合せた短篇全集(92年)はベストセラー。現役の最高の短篇作家と称される。邦訳短篇選集に『聖母の贈り物』がある。英国デヴォン州在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

162
人生はドラマチックで、すべて納得のいく結果に収まるものではない。たくさんの選択は何度となく苦く思い出され、愛するものは去り擦れ違い残りは孤独とともにある。でもそれは不幸なのか。かつて手にあった美しい思い出を心で無限に反芻する、そのことが?孤独はひそやかにそこにあって、おそろしく呑みこもうとする反面やさしく包み込むこともあるような。なんとなく小川洋子さんの短編集を彷彿とさせるような読み心地。読み返す自分の状況できっと印象を変えていくことを予感させる苦くて美しい本です。2020/04/16

ケイ

162
苦く優しいノスタルジーが全体を包む。主人公たちは夢見ることすらほとんどしない。起こることに身を任せ、失うとわかっているものに傷ついている心を巧みに隠し、哀しみを表に出さない。彼ら自身にも自分たちの受けているダメージは認識されていないのかもしれない。表題作の『密会』終わりが来るのはどこかでわかっていたのに、なぜかくも愚かであったのか。それでも彼らには未来がある。『グレイリスの遺産』自分たちの気持ちに気付かないふりをして語られる本談義。その本たちが仄めかすことに魅入られた。原文に触れて味わいたいと強く思う。2016/10/01

遥かなる想い

159
ひどく哀愁に満ちた短編集である。 底に流れる諦めにも似た感覚が心地良い。 人生の何気ない一コマを 切り取って、 男女の微妙な心のズレを 丹念に描く… 登場人物の独白が 哀切で 心に響く。 自分自身に言い聞かせるように、語る展開は 哀しく 少し大人である。2019/11/01

mii22.

65
トレヴァーの短篇はどれもほろ苦い。そして味わい深い。丁寧に心の機微をすくいとるような筆致で、平凡な人々の人生の一場面を切り取って風景画を描くようだ。そこには誰もが心の奥に密やかにしまい込んだ思いがある。人は不器用に生きるものかもしれない。しかし背徳、後悔、諦め、孤独のなかから、やがては前を向く自分を見つけ出していくようなラストには優しさが感じられる。表題作「密会」はやがては訪れるであろう予想される結末に気付きながらも、密会を重ねる二人のやるせなく哀しいラストシーンはため息が出るほど美しい。2017/02/07

どんぐり

58
新潮クレスト・ブックスの1冊。このシリーズの創刊にかかわったのが、作家に転じた松家仁之氏。松家氏といえば、『火山のふもとで』華々しいデビューを飾り、丸谷才一氏が、生前に最も注目している作家としてあげている。『優雅なのか、どうかわからない』を図書館に予約した折に、クレスト・ブックスでも読もうと思って手にしたのがこの本。翻訳物にはあたりはずれがあるけれど、これは後者の部類に入る。12篇の短編があるのに、どれも霞がかかったようで、全編にわたって物語の像が立ち上がってこない。こういう読書もあるのだと思って読了。2015/02/03

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/475749
  • ご注意事項

最近チェックした商品