Crest books
アルネの遺品

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  • サイズ B6判/ページ数 190p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105900342
  • NDC分類 943
  • Cコード C0397

内容説明

一家心中で一人だけ生き残った少年アルネは、父親の友人一家の新しい家族として迎えられる。けれども運命は彼にとってあまりに過酷だった。北ドイツの港町ハンブルクを舞台に、美しいエルベ河畔の自然の中で、ゆっくりと進行する繊細な魂の悲劇。

著者等紹介

レンツ,ジークフリート[レンツ,ジークフリート][Lenz,Siegfried]
1926年、東プロイセンのリュク(現在はポーランド領)生まれ。第二次世界大戦中、海軍に召集されるが、戦争末期に脱走。捕虜生活を経てハンブルクに定住。ハンブルク大学で哲学や英文学を学ぶ。ジャーナリストとして働いたあと、1951年に『空には青鷹がいた』で作家デビュー。1968年の『国語の時間』で成功を収め、現代ドイツ文学を代表する作家の一人となる。ドイツ書籍平和賞、フランクフルト市のゲーテ賞、ゲーテメダルなど、数々の賞を受賞している
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

151
北ドイツの港町ハンブルクを舞台に、15歳の 少年アルネの死の真実を語る。 一家心中で 一人だけ生き残ったアルネへの 想いが 全編に溢れ、心に染みる。 ハンスが アルネに語りかける言葉は とても静かで 心に痛い。 破局に向けて、ハンスの語りは 続くが …現在と過去を交錯させながら、用心深く その瞬間に向かう…ひどく 哀切で 静謐な 物語だった。2019/07/28

新地学@児童書病発動中

143
一家心中により家族を失った少年アルネの物語。アルネは父の友人の家に引き取られるのだが、さらに過酷の運命が彼を待ち受けていた。簡潔ながら詩情をたっぷり含んだ文章が見事で、小説の文章はこうでなければと感じた。アルネの悲しそうな瞳、舞台となるハンブルクの街並み、沢山の船が行き来する港など何気ない描写が読み手の心に深く刻み込まれる。独の作家らしい内面的なストーリーの展開が印象的で、アルネは主人公の回想を通して描かれるので、詩的な陰影を帯びていた。繊細な心を持つ人間はこの世ではやはり生きにくいのだろうか。2015/11/15

KAZOO

113
レンツの作品は昔短編を少し読んだことがあるだけで、長編は初めてでした。時代は現代で最近の学校などでのいじめを中心としたことなどが書かれています。どこの国でも同じような問題は起きているのでしょうね。私は読んでいてヘルマン・ヘッセの少年を中心とした物語を思い出しました。2018/12/22

どんぐり

86
一家心中で両親と2人の姉を亡くし、一人生き残った少年アルネが父親と親交のあった一家に引き取られることになる。その3年後、彼の遺品を整理しながら語るハンスのアルネとの想い出の数々。子どもは仲間で集まると、時に裏切りや仲間外しを平気で行う。アルネの悲劇は、そんな子どもたちの無邪気で浅はかな行動によってもたらされる。一人沖に向かってボートで繰り出しこの世から消えていくアルネ。運命があらかじめ決まっているかのような、なんとも寂寥感の伴う物語である。2019/12/02

NAO

85
無理心中した一家の中でただ一人生き残り、父の友人宅で暮らすことになったアルネ少年が、その家に来てから亡くなるまでが友人宅の長男ハンスの語りで描かれていく。そこからほのかな潮の香が漂ってきそうな、何ということのない港の風景。アルネの不幸になど斟酌せず、平気で仲間外れにしたりいじめたりするクラスメイト。静かな日常生活の中に垣間見られるあまりにも繊細で聡明なアルネの態度。ラストの、語り手である一家の長男ハンスが辛い気持ちでアルネの遺品を片付け終えたところにやって来た次男のラースが撮った行為がなんとも印象的だ。2019/06/10

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