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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
143
オランダ女性作家による家族の物語である。 ほんの些細なことで壊れる家族の幸せ …三十年前 家族にいったい 何があったのか? エレンが 辿る過去の出来事… 錯乱した母の狂気が怖い…一人惨劇を 逃れたエレンの苦悩… 重く立ち込める 抒情的な不可解さが 特徴的な 作品だった。 2019/07/21
pulpo8
18
裏表紙のあらすじに目を通さずに読む。エレンの思春期、両親たちの出会いなど、家族のことを詩情豊かに、でも簡素に描かれた文章をどこへ行き着くのかと読み進めていき、p.35の不穏な数行にドキッとする。同時にこれがとても好みのタイプの小説だと感じ、その通りだった。ミステリーまでは行かないと思うけど、過去の事件に思いを馳せながら、過去の家で暮らすことになったエレンの心理的な旅というのかな、その雰囲気が女性っぽくて読んでいて何だかうっとり。若干性的な描写はあるけど。内容は重いけど重すぎず、本自体もさらりと軽く読める。2017/11/25
umeko
15
惨劇を通じて、過去の家庭がどれほど温かだったかを感じさせられ、胸が締め付けられる思いです。暖かな家庭が、何が原因で、どのように崩壊の道を歩み、生き残った少女のその後が断片的に語られ、それらの断片全てが少女の人生である重み。起こったことは明確ですが、真実は憶測でしかないことが悲しいですね。2012/10/14
kyoko
5
ごく普通の朗らかな家庭が崩壊していく様が恐ろしかった。家族のなか、一人遺されたエレンの戸惑いと苦しみが辛い。こういう悲劇はあまり聞いたことがないので衝撃的だった。2014/05/30
varietasdelect
5
スキポール空港の図書スペースで出会ったオランダが舞台の小説。早速入手し、残りを一気に読んでしまいました。新潮クレスト・ブックスの中であまり目立たない本書ですが、あまりの面白さ、やり切れなさ、そして希望の眩しさに、愕然としました。子供時代の兄弟たちとの記憶の断片が散りばめられているのだけれど、その輝きかたが素晴らしくて。ノスタルジックな描写は、個別的、具体的であるほど、普遍性を増すのが不思議です。心を万力で締め上げられるような、かなりヘヴィーなテーマの小説ですが、不思議な温もりがあります。2010/10/17