内容説明
家族を突然の事故で失う痛み。その死で明らかになる秘密…結婚の深層に光をあてる長篇。
著者等紹介
シュリーヴ,アニータ[シュリーヴ,アニータ][Shreve,Anita]
アメリカ、マサチューセッツ州生れ。タフツ大学を卒業。ハイスクールの英語教師をしている時に発表した短篇でO・ヘンリー賞を受賞。その後、アフリカ、ケニアに暮らしジャーナリストとして働く。89年に処女長篇“Eden Close”を発表。現在まで最新作“The Last Time They Met”を含めて八つの長篇を発表している。マサチューセッツ州ロングメドウ在住
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
157
飛行機事故で夫を亡くした妻キャスリン の心情描写が 秀逸な作品である。 愛する夫ジャックの隠された秘密 …結婚の深層が 夫の真実が 徐々に 明らかになっていく 過程を、妻 キャスリンの視点で 注意深く 描く …事故をきっかけに 露わになる 不確かさが 丁寧に描かれている、そんな印象の作品だった。2019/07/10
紅はこべ
103
もし911の後に書かれていたら、真っ先にテロを疑われたろう。夫が生きているうちと死んだ後、不倫を知って辛いのはどっち?真のパイロットの妻だったのはどっち?心に突き刺さった一文。「一つの愛から解放されると、こんなにも肩が軽くなるものか」ロバートとの関係はこれから進むのか?2019/04/30
どんぐり
93
アイルランド沖16キロで飛行機が空中爆発を起こし、機長の夫の死の報せから始まるミステリー仕立ての長編小悦。事故調査が進むなかで、「旅客機を操縦する夫の自殺」説が浮上し、パイロットの妻は過去の二人の関係について再考することを強いられる。やがて自分の知らない夫の秘密が次から次と明かされる。死んでいないはずの義母の存在、夫の二重生活、密輸とIRA。これまで知らなかった夫のことを知るたびに、ディテイルが変わり、事実が変わって、夫婦の関係は最初とはまったく異なる様相を帯びていく。2023/08/25
NAO
76
人が秘密を隠し持ったまま、一つのところで生活をし、また違うところで別な生活をするということが可能だとしたら、パイロットという職業は、確かにうってつけかもしれない。だが、どんなに斬新そうなサプライズを盛り込んだところで、パイロットの二重生活というのは陳腐すぎる。しかも、彼のイギリスでの生活は、あまりにも作り事めいて嘘っぽい。そういったものが中途半端に妙に生々しく露見してしまったうことことこそが、悲劇であり、喜劇なのだろう。2018/11/05
神太郎
35
パイロットの夫が飛行機の爆発事故で亡くなった。悲嘆にくれる妻。だが、それはほんの始まりにすぎず……。序盤から中盤にかけて事故はなぜ起こったのかあれこれ考えながら読んだ。夫と過ごした時間を合間に挟む演出はまどろっこしくも、夫が抱えていた「秘密」をより効果的にみせるためにだとすればうまくハマっている気がする。ただ、確かに徐々に秘密が露見されるようになってくるとこの夫に対する印象はよくない。だが、人ってのは秘密を抱えてるものですべてを理解してるようでもそうではないのだ。たとえ夫婦でも。2021/05/01